中国におけるスマートフォンは、とりあえず普及が進んだ。調査会社のCINNO Researchが発表した今年3月のスマートフォン販売台数は、前年同期比18.7%減の2725万台となっている。このほか、調査会社により販売台数に幅はあるものの、すべての調査会社で前年比マイナスを記録している。
数年前までの中国では、スマートフォンは高いものを持っていた方がステータスが上に見えるメンツアイテムだったが、もはやiPhone以外はステータスを示すことはなく、単なるツールになった。
街中を見ても、買いたくなるような新しいトリガーがなくなり、買い換える意欲が減少したというのも挙げられる。つまりスマートフォン単体で、必要なアプリをインストールして、利用することが当たり前となった。
スマホ連携型の家電が増加中
最近になり、スマートフォンの普及とともに、スマートフォンと連携する製品が増えてきた。
例えば中国ではスマートテレビや、テレビをスマートテレビ化するSTB(セットトップボックス)は普及してきているが、多くのメジャーメーカーの製品で、スマートフォンをリモコンとして使えるようにしている。
深センの中国最大の電子市場「華強北」では、Apple Watchの発表や発売とともに、有象無象のスマホ提携のスマートウォッチが登場した。単なる模倣にとどまらず、シンプルさを目指す一方で、通話もでき、GPSを内蔵し地図サービスを活用して親に居場所を通知する、子供向けや老人向けスマートウォッチも登場している。
スマートテレビやスマートウォッチだけではない。スマートフォンで、家の中の設備や車と連携する製品が中国のメーカーの大小を問わずリリースされるようになった。
最近では、車や家などとスマートフォンを繋ぐ新製品の展示会が、上海や深センで年に何回も行なわれるようになった。上海で開催された大きなイベント「2016 CES Asia」でもスマートホームを提案する企業ブースがあった。
以前からドアロックや監視カメラなどを展示したホームセキュリティー系や、リフォーム系の展示会があり、それらをベースにスマートフォンアプリとの提携を乗せた製品群と、はじめにスマートフォンありきで、スマートフォンと連携させようという考えの製品群の大きく2つに分けられる。
(次ページに続く、「照明器具からおむつセンサーまでスマートフォンで管理」)
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