A10ネットワークスは3月18日、同社のアプリケーションデリバリーコントローラー(ADC)向けOSの最新版「ACOS 4.0」を提供開始した。新アーキテクチャ「A10 Harmony」の採用や新機能追加、既存機能の拡張などを実施している。
オープンAPI実装で外部連携やプログラマビリティを強化
ACOSは、A10のADCアプライアンス「Thunderシリーズ」向けの独自OS。今回提供を開始した新バージョン、ACOS 4.0の開発コンセプトについて、同社エバンジェリストの高木氏は「集中管理と自動化が進むクラウド環境との統合」にあると説明する。
その目指す方向性を具体化したものが、A10 Harmonyアーキテクチャとなる。ACOS 4.0はこのアーキテクチャに沿ってデザインされている。
ACOS 4.0ではまず、APIが強化され(aXAPI 3.0)、REST APIを通じてあらゆる操作ができるようになった。これにより、サードパーティ製のクラウドオーケストレーターやSDNアプリケーションとの連携、あるいは構成管理ツールを通じた管理の自動化が強化されている。なお今年1月には、シスコシステムズの「Cisco ACI」との連携対応も発表している。
そのほかにACOS 4.0では、データセンター間をIPsec VPNで接続する「データセンターインターコネクト」機能が追加されたほか、WAFやDDoS防御、アプリケーションアクセスマネジメント(AAM)の各セキュリティ機能が強化された。また、SSLトラフィックをA10 ADCが暗号化/復号する「SSLインサイト」では、アクセス先のカテゴリごと(金融、SNS、政府関連など)に復号するかどうかを指定できる機能が追加されている。
A10が「まだまだ浸透不足」のエンタープライズ市場に注力
今年1月から日本法人代表兼社長を務める川口亨氏は、今年2015年から将来にかけての日本市場におけるビジネス戦略を語った。
現在、A10製品はキャリア/ISP市場で高いシェアを獲得しているが、次なる成長に向けたステップとして、川口氏はエンタープライズ市場への浸透を挙げた。業種/分野ごとの特性に応じてパートナーとの連携も強化していくという。
「国内のエンタープライズ市場では、A10はまだまだ顧客とタッチできていないのが実態。一方、最大のコンペティター(F5ネットワークス)はこの市場でとても強い。人員リソース不足などもあってアプローチできていないここを、まずはしっかりとやっていく」(川口氏)
さらに、その先には企業ITの大規模なクラウド移行や、クラウド利用の浸透を予想しているという。「実際のところ、クラウド移行はまだ検討中という顧客が多い。だが、それが“マグマだまり”のようになっており、いつかニーズが爆発する。そのときニーズに応えられるように、A10としては備えておかなければならない」(川口氏)。
そして最終的なビジョンとして、A10 Harmonyに基づくネットワーク環境の実現を挙げた。「ユーザーが、ADCなどの物理的なことを意識せず『やりたいこと』『やりたいビジネス』ができるような環境を作る」(川口氏)。