そもそもサービス認知度に難あり!?
READYFOR?って何? 国内クラウドファンディングシェア早わかり
2015年01月26日 11時00分更新
『そういえば、あの業界のシェアは結局どこが一番多いんだっけ……?』
そんな疑問を抱いたことがあるすべてのビジネスマンに捧ぐ連載。仕事でも利用できる業界ランキングや業界地図を私、高橋暁子が手っ取り早く紹介します。
国内のクラウドファンディング
まだ新しいサービスだが支援実績は豊富
皆さんは、クラウドファンディングを利用したことはあるだろうか。クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人から支金や寄付金を集めるサービスのことだ。純粋な寄付型の他、物品の購入などを前提に支援する購入前提型などがある。
世界的な知名度としてはkickstarter、代表的な国内サービスとしてはCAMPFIRE、READYFOR?などがある。今回は国内クラウドファンディングの利用実態、サービスごとのシェアについて見ていこう。
まずは代表的なサービスのあらましから。READYFOR運営のREADYFOR?(レディーフォー)は、2011年4月スタート。執筆現在、約1600のプロジェクトに対し、約6万3000人から約8.4億円の支援金を集めている。
ハイパーインターネッツ運営のCAMPFIRE(キャンプファイヤー)は、2011年6月スタート。執筆現在1000件以上のプロジェクトが5万5000人以上から総額約4.9億円を集めている。
JustGiving Japan(ジャストギビングジャパン)は2001年に英国でスタートしたJustGivingの日本版であり、何かにチャレンジすることで支援したい団体のために寄付を集めるプラットフォームだ。執筆現在寄付件数は約11万3000件、累計寄付額は12億2400万円以上にのぼる。
クラウドファンディング自体の歴史は浅いが、多くの支援金や寄付金を集め、それによって多数のプロジェクトがスタートしたり、団体が運営されているのだ。
認知度・利用率の拡大が課題
インターネットコムとNTTコムリサーチによるクラウドファンディングに関する調査(2014年2月)によると、クラウドファンディングを「知っている」は7.7%に留まった。一方、「聞いたことはあるが、詳しくは知らない」は19.1%、「知らない」は73.2%となった。
クラウドファンディングを「知っている」人に対して、実際に利用したことがあるか聞いたところ、「出資したことがある」は10.8%、「資金を集めたことがある」は1.2%、「出資/資金集めのどちらもある」は3.6%であり、「出資/資金集めのどちらもない」は84.3%だった。つまり、資金調達に利用した人は全体の約1.2%ということになる。今後の認知度、利用率の拡大は大きな課題となりそうだ。
クラウドファンディングを実際に利用したことはありますか? | |
---|---|
出資したことがある | 10.8% |
資金を集めたことがある | 1.2% |
出資/資金集めのどちらもある | 3.6% |
出資/資金集めのどちらもない | 84.3% |
NTTコムリサーチ、japan.internet.com調べ
READYFOR?が認知度・寄付率共に一歩リード
サービスごとの認知度や利用率はどうだろう。市民ユニット「パブリック・キュレーションズ」がオンラインの寄付経験がある全国20~40代男女を対象に行なった「クラウドファンディング利用実態調査」(2013年4月)を見ていこう。
「名前を知っているもの」という問に対しては、「READYFOR?」が32%でトップ。続いて「CAMPFIRE」が30%、「JustGiving Japan」が25%、「MotionGallery」が23%、「COUNTDOWN」が21%となった。
「実際に寄付をしたことがあるもの」という問に対しては、やはり「READYFOR?」が20%でトップ。以下「CAMPFIRE」(14%)、「JustGiving Japan」(13%)、「MotionGallery」(10%)、「COUNTDOWN」(8%)。僅差だが、READYFOR?が一歩リードというところか。
クラウドファンディングサイト利用状況 | ||
---|---|---|
サービス名 | 名前を知っているもの | 実際に寄付をしたことがあるもの |
READYFOR? | 32% | 20% |
CAMPFIRE | 30% | 14% |
JustGiving Japan | 25% | 13% |
MotionGallery | 23% | 10% |
COUNTDOWN | 21% | 8% |
パブリック・キュレーションズ調べ
認知度・利用率ともにまだ低め
クラウドファンディングで寄付をした際に重視したこと、決め手になったことという質問に対しては、「テーマが自分の関心と合っている」が、「重視したこと」では55%、「決め手となったこと」では36%と最も高くなった。
決め手になったことの2位以下は、「獲得資金の使途が明確」(13%)、「これまでの活動実績」(8%)。重視したことの2位以下は、「これまでの活動実績」(27.8%)、「獲得資金の使途が明確」(27.6%)だった。テーマに関心があることと共に、実績や資金の使途などが重視されていることが分かる。
なお、クラウドファンディングで寄付したことがあるテーマは、「災害復興」が49%と最も高く、今後の寄付意向も45%となった。なかでも女性40代は59.2%と特に高かった。今後の寄付意向では、20代男性は、「スポーツ」「食・農業」「テクノロジー・インターネットサイト」「ビジネス」が高い。一方20代女性は、「人権保護・人道支援・貧困解決」「アート」で高くなるなど、年齢・性別による違いが現われた。
まだまだ認知度・利用率共に低めだが、多くの実績を上げているクラウドファンディングサービス。自分の興味関心に合ったサービスを覗いてみることで、支援したいプロジェクトや団体が見つかるかもしれない。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、コンサルタント。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。小学校教員、編集者を経て現在に至る。最新刊『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎エデュケーション新書)の他、『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条』(マイナビ新書)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』『図解 一目でわかるITプラットフォーム』(日本実業出版社)、『ネット業界 儲けのカラクリ』(中経出版)など著作多数。http://akiakatsuki.com/ Twitterアカウントは@akiakatsuki
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