「自分の本を出版してみたい!」という話をよく聞きます。筆者は、共著や子ども向けなど、計7冊(8冊目が10月に出版されます)の本を出版してきました。最近、ITの進歩にともない、書籍制作のワークフローがだいぶ変化してきました。そこで、今回はそんな著作のワークフローに導入して便利だったこと、昔同様に苦労してること、そんなことを解説していきます。
本の依頼はどんなふうに来るか?
僕の経験では、本が出版されるパターンは4つあります。
1)メディア(雑誌やデジタルなど)に連載中の記事が、まとまって書籍化される
2)「何でも良いので、とりあえず書いてください」と出版社に頼まれる
3)「こんな内容で書きませんか?」と出版社、またはプロダクションから依頼される
4)「こんな企画いかがですか?」と出版社やプロダクションに著者が企画書を持ち込む
1は、筆者の場合、建築誌「モダンリビング」(ハースト婦人画報社)に連載していたコラムが電子書籍になりました。おそらく、1、2は、名の知られた著者や文化人、有名ライターに多いパターンかもしれません。3になると、 1~2に加え、腕に覚えのある実力派ライターにも裾野は広がります。
僕の感覚では、出版されにくい(成功率が低い)のは4。たぶん、出版社に企画を持ち込む人やプロダクションは大勢いるのでしょう。恋愛において、告白するより、告白されるほうが「話が早い」ことに似ているかもしれません(笑)。とりあえず、ここでは、2のパターンで話を進めてみましょう。
テーマをモミモミ
本を作るのは、出版社にとっては何百万円~何千万円も動くプロジェクト。1冊1200円の本でも、8000冊刷れば1千万円近い商品に生まれ変わります(もちろん、全部売れればの話です)。当然、出版社でも、企画会議や営業会議で「その本がちゃんと売れるのか?」などが、社内で慎重に話し合われます。その過程で、テーマが微妙に方向転換することもあります。いずれにしろ、このプロセスを経て執筆開始です。
ゴーストを使うか/使わないか
ゴーストというと聞こえは悪いですが、インタビュアーや編集者と対談したメモやテープから原稿を起こしたりするケースもあります。大事なのはその後。本人がそのドラフト原稿をしっかりと読んで、事実関係の確認や聞き間違い、自分が使わない言い回しなどをキチンと直すかどうか。著者は、時間とエネルギーを使いますが、そのあたりをサボっちゃうと、後で「ゴーストライターが…」なんてスキャンダルになるリスクになります。忙しい経営者や政治家に多いパターンです(もちろん、自分で原稿を書く人も中にはいます)。
筆者の場合、インタビュー記事や対談でない限りは、自分で原稿を0から書き起こしてます。経験上、そのほうが時間の節約にもなりますし、建築誌やデジタル・メディアに連載もしているので、文体が急に変わると読者にバレます(笑)。
このときに使うアプリは、iText Expressなどのテキスト・エディタ。1行の文字数も設定できるし、総文字数のカウントもラク。著者がレイアウトに頭を悩ませる必要がない連載などは、ここで作業はおわり。この原稿もiText Expressで打っています。
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