2014年11月でいよいよ20周年を迎えるNECのPCサーバー「Express5800シリーズ」に、インテル XeonE5-2600v3製品ファミリー(以下、Xeon E5-2600v3)を搭載した新モデルが加わる。見た目も異なる新モデルをいち早くチェックしてきた。
CPUの処理能力を引き出すハードウェアの底上げ
新モデルの前に、まずはラインナップをおさらいしておこう。現在、Express5800シリーズはスタンダードなラックサーバ(R系)、タワーサーバ(T系)のほか、ブレードサーバの「SIGMABLADE」、コストパフォーマンスを追求した「Gモデル」、可用性を追求した「ftサーバ」、データセンター向けの「ECO CENTER」などが⽤意されている。
9月17日に発表されたのは、ラックサーバ3機種、ブレード1機種、モジュラー1機種の計5機種。今回はこのうちラックサーバの「R120f-2M」「R120f-1M」を見せてもらった。
製品強化のポイントは、最新アーキテクチャを採用したXeon E5-2600v3の搭載だ。Haswell-EPの開発コードで呼ばれていたXeon E5-2600v3は、最大で18コアを搭載する2ソケットサーバー向けCPU。最大45MBのキャッシュを搭載し、DDR4-2133にも対応。従来世代と比較して約3倍の性能向上を実現しているという。
今回の新モデルについてNEC プラットフォームビジネス本部 主任の浦田章一氏は、「どちらも2ソケットモデルの上位製品にあたります。1Uの「R120f-1M」はデータセンターとエンタープライズ、拡張性の高い2Uの「R120f-2M」はデータベースや仮想化の用途を想定しています」と語る。1Uは12モデル、2Uは13モデルをラインナップするほか、サーバー本体にOSを組み合せたExpress Selection Packも用意される。
18コアという処理性能を十分に活かすため、今回発表されたNECのサーバーでは、最新のDDR4規格のメモリを採用し、従来比で14%の性能向上を見込んでいる。また、I/Oもスペックの底上げが施された。転送速度12GB/sに対応したRAIDコントローラーを採⽤することで、I/O転送性能も従来比最大40%向上した。
さらに、今回からオンボードの標準LANを3種類から選択できるようになった。1000BASE-T(4ポート)、10GBASE-T(2ポート)、または1000BASE-Tと10GbpsのSFP+モジュール(10G-SR) を組み合わせた構成が選択でき、柔軟なネットワーク構成が可能になる。ユーザー側のネットワーク環境が多様化している中で、ニーズに応じて、無駄のない構成での提供を可能になる。1Gbpsポートはもはや不要で、最初から10Gbpsの高速なLANが欲しいという顧客の声にも応えられるという
NEC プラットフォームビジネス本部 エキスパート 福田知夫氏は、「1台の物理サーバーで複数の仮想サーバーを動作させる用途が増えていますが、サーバーに搭載できるネットワークの物理ポートはボトルネックになりがちです。そこで、今回はオンボードのLANを自由に変更できるようにして、仮想化環境でもCPUと通信の性能も確保できるようにしました」と語る。
こうしたスペックの底上げは、やはり仮想化の需要を受けている。浦田氏は、「18コアになると、かなりの仮想マシンが1台の物理サーバーに載せられます。こうなると、DDR4メモリの採用、ディスクI/Oの高速化、広帯域ネットワークへの対応など、すべての部分で底上げが必要でした。新モデルは仮想化に加えてクラウドサービス基盤やビッグデータ活用など幅広いお客様の利用環境に最適なミッドレンジサーバになっています」と語る。
操作性や視認性を向上! 筐体デザインが大幅変更
新モデルは、物理サーバーの保守性を向上すべく、筐体デザインも大きく変更した。たとえば、ホットスワップの部分をライトオレンジ、コールドスワップの部分をスカイブルーに統一し、視認性を向上。HDDやSSDの種類や容量を前面に表示したり、色の違う単色LEDを2個を配置し、誰でも一目で状態を判別できるようにした。
福田氏は、「あらゆる業務がシステム化される中で、管理対象のサーバーは大幅に増え、しかも多様化・複雑化しています。それに伴って、運用者の負荷もより一層大きくなっていることから、今回、負荷軽減や誤操作防止のために、ユーザーインターフェイスの見直しを行ないました。今後はExpress5800だけでなく、iStorageでも共通化を図っていきます」と語る。
いち早く実機を見てきたが、使い勝手の面でもかなり期待できそうだ。仮想化集約のために、最新CPUを搭載したサーバーが必要なユーザーには最適といえるだろう。
(提供:NEC)