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これぞアメリカンマッスル! 新型コルベットを乗り倒した!

2014年03月29日 18時30分更新

文● 松永和浩 写真●松永和浩

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あまりににも奥が深いコルベット!
レーシングドライバーの感想は?

 筆者が大喜びで走り回っても、筆者レベルの運転テクニックではコルベットのさわりの部分くらいしか体験できない。それではあまりにも読者の方々に申し訳無いので、ここは現役のレーシングドライバーにコルベットに乗ってもらってナマの感想を頂戴しようと考えた。

黄色いレーシングスーツはスーパー耐久選手権に出場中の野上達也選手。昨夏の富士SUPER-TEC7時間耐久で谷川達也選手らと共にマツダ史上初のレシプロエンジンによる耐久レース優勝をはたしたドライバーだ

黒いレーシングスーツは、今年から鈴鹿サーキットでスーパーFJに乗る伊藤鷹志選手。昨年はフィリピンでWINDS Formura Philippinesに出場し、海外経験もあるという強烈な18歳

野上選手に聞きます。ベースのクーペはどうですか?「個人的にはテールランプのトランスフォーマー的なデザインが凄く好きです。普通の巡航では気筒休止でV4になり、静かで乗り心地の良いマシンになりますから肩肘張らなくても、気軽に乗れるような雰囲気で、クルマが小さくすら感じます」

飛ばすとどんな感じ?「踏めばV8サウンドが響き、猛烈な加速をしますから、すごく速い乗り物に乗っている感覚はかなり強いです。試乗したベースモデルのクーペは6段AT(トルクコンバーター式)でイージーに快適と速さを楽しめますし、パドル操作でマニュアルシフトも体験できるので物足りないということはまったくありません」

──それでは、Z51はどうだろう?

「こちらは完全にスポーツを意識したセッティングで、通常のクーペからもう2サジくらい盛った爆発的な加速が印象的です。ブレーキが安心感のあるストッピングパワーを持っていて、かつ踏み込んでいった先もABSが良い仕事をします。大磯の特設コースでそのままスラロームをさせても、1.5トンの車体がキビキビと付いてきます。専用のミシュランタイヤがいい仕事してますね。ただ大磯のコースではちょっと物足りない。出来れば富士のグランプリコースで乗ってみたいかな」

──気になった部分は?

「クーペでは気にならなかったのですが、Z51だと加速性能が高いからでしょうか、V4からV8に切り替わるときにシャクれる感じというか、つながりが多少ラフに感じました。Z51だとその他はATのマニュアル操作の部分でレブリミットの手前でシフトアップすると素早くシフトチェンジするのですが、レブリミットに当たってからだとシフトチェンジが遅れ気味になる傾向がありますから、サーキットでいいタイムを出そうと思うなら、レブリミット手前できっちりシフトアップするように心がけるといいかもしれませんね」

──伊藤選手はどうですか、Z51は?

「ここまでハイパワーなクルマは初めてなので、とにかく楽しいです。とくに、Z51のブレーキはどんなところからどんな風に踏んでもきっちりと止まってくれるので、特設コースではやりたい放題やらせていただきました」

──やりたい放題?

「かなり広い駐車場にコースを作ってもらってますから、定状円とかスラロームでとにかく横Gを感じる走り方を楽しませてもらいました。それでもタイヤが逃げていかないサスは、本当にすごいと思います」

という具合に、忌憚なき意見が聞けたところで野上選手がなにやら見つけたようだ。

「Z51のこのシート、とりあえず4点式シートベルトが使えます的なお飾りなものじゃないですよ」

──どういうことですか?

「この開口部の大きさとカーボンプレートの縁取りは、明らかにHANSの使用を想定していますね」

HANSとはヘルメットと連携して、クラッシュ時などに首の損傷を予防するための器具。写真はSUPER GTに出場中のDIJONレーシング高森選手のHANS

HANSはシートベルトに挟みこんで固定することで首の後ろのプレートがシートに完全密着する。写真はSUPER GTのGOODSMILE RACING & TeamUKYO 片岡選手の乗り込み風景

 野上選手曰く「アメリカだと各都市に必ずサーキットがあって、サーキットによってはTシャツで走れるところもあるのですが、それでもHANSとヘルメットは必ず使っていると言うくらいアメリカでは当たり前の装備なんです」とのこと。

 HANSは日本でも国際規格のレースとなれば着用義務が課せられており、国内規格や地方選手権では努力義務となっている装備で、走行会などでも普及している。レース用のシートならまだしも、純正装着のシートにもHANS対応を特にアナウンスすることもなくしてしまうあたり、サーキット仕様を謳っているZ51はシートひとつとっても飾り物ではなく本物志向であると言えよう。

 まだまだ伝えきれない魅力が数多い新型コルベット。気になる価格はクーペの6ATが929万円、Z51の7MTが1088万2000円、同6ATが1099万円(全て消費税8%込み本体価格)となる。絶対値としてはかなり高額だが、ライバルはここから500万円以上も高額なのだから、スーパーカーとしての相対値として考えれば超が付くほどのお買い得プライスだ。

 そんなコルベットは今年のル・マン24時間レースに、この新型をベースとしたマシンで出場するということだ。レース中継は衛星放送やネット放送での中継になるだろうが、この新型コルベットのホンキをぜひその目にとどめて見て欲しい。

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