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これぞアメリカンマッスル! 新型コルベットを乗り倒した!

2014年03月29日 18時30分更新

文● 松永和浩 写真●松永和浩

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コルベット「Z51」は
まさに「ヲ級」を想像させる刺激的バージョン!

 先述の動画で激しいスラロームを見せていた赤いコルベットは、Z51というサーキット走行も視野に入れた過激な仕様だ。同じクルマでここまで変えちゃうか? というくらいに手が入っており、まずエンジンの潤滑方式がドライサンプというレーシングカーなどで使われる方式で、高回転キープでも潤滑切れが起きにくいシステムだ。

 そしてマフラーも変更され、そのおかげで6馬力のパワーアップが図られている。サスペンションも専用チューニング、ブレーキパッドも強化型となり、タイヤサイズもより大径のものが採用された。そして電子制御LSDが装着されるなど、サーキットでなければ活かしきれないチューニングがテンコ盛りだ。

 サーキット走行では、いくら強化されたパーツでも熱によるトラブルが起きる可能性は否めない。エンジンは言うに及ばず、トランスミッションやLSDなども非常に高温となる。それらを冷却することは、やはりレースからのフィードバックを蓄積し、新型コルベットに活かされているのだ。リアのフェンダー上部に開いたエアインテークやテールランプ脇にあるエアアウトレットなどがそれだ。

 エンジン冷却のために、ラジエターへ導風するフロントグリルには空力で車体を押し付けるようにダウンフォースを働かせる構造となっていたり、エンジンの熱が車内にこもらない様に徹底的に排出するための、効率のよいアウトレットを随所に設けてある。

 エンジンを含め各部の冷却は、もともとの設計がしっかりしていなければ、あとから穴を開けるなどの加工をしてもうまくいかないことが多いので、この新型コルベットの廃熱、冷却へのこだわりようはル・マン優勝の経験があるからこそ、と言えるのだ。

 そんなサーキット仕様のZ51は、走らせてみてもベースグレードのクーペとは明らかに違う。特設テストコースでゼロ発進からアクセルを思い切り踏み込んで見ると、エンジン回転上昇数のあまりの速さに液晶パネルに表示されたアナログ式メーターの針が飛び飛びで表示されてしまうのだ。

 クーペでは滑らかな針の動きであったが、それでも遅いと思わなかったことを考えると、Z51の吹け上がりの良さは想像できるだろう。ましてや5段階のドライブモードのうち一番過激なトラックモードに設定すると、エンジンマネージメントのコンピューターセッティングからシフトタイミング、サスペンションの設定までが過激になり、その怒濤の加速は液晶のアナログ式メーターでは追いかけきれないほどだ。

 それゆえ、トラックモード標準のメーター表示は、レーシングカーさながらの横バーグラフ式となる。メーター表示の切り替わりはクーペもZ51も同じ仕様なので、クーペでも雰囲気を味わうことはできる。

 メーターの表示は回転計だけでなく、燃費やタイヤ空気圧、オーディオの曲目などさまざまな情報を表示させることが出来る。特にカーナビを使用しているときなどは、曲目をメーターパネルに表示させておけるのは、なかなか便利な機能ではないだろうか。

 サーキットなどでハイスピードな領域のドライビングに興じていると、メーターを読み取るための視線移動も危険につながることがある。レーシングカーはシフトアップのタイミングをランプで知らせるなど、なるべくメーターパネルを見なくてもすむようなシステムになっているが、このコルベットは両グレードともヘッドアップディスプレーが装着され、速度とエンジン回転はフロントウインドウ越しに確認できる。

 また、モードによってメーター表示を変えることもできるので、視認性も良好だ。

 ベースのクーペでさえ、スーパースポーツとしてはかなりの完成度でありながら、その上を行くZ51を同時にリリースしてくるあたり、シボレーは明らかにこのマーケットへ勝負を仕掛けている。まさしく「艦これ」で言うところの「ヲ級」のように不気味な強さを発揮してくることだろう。

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