B2Bに強いパナソニック
2013年は、1月のInternational CESにおいて、津賀社長が基調講演を行い、そこでBtoBに強いパナソニックという、新たな側面を打ち出してみせた。
テレビメーカーや家電メーカーというイメージが先行していたパナソニックが、あえてコンシューマ製品のイベントであるInternational CESの基調講演において、BtoBを前面に打ち出したのだから、業界では驚きを持って捉えられた。
実際、パナソニックは売上高の約3分の2がBtoBに分類される。イメージと実態とをすりあわせることが、今年1月のCESをきっかけにはじまったといっていい。
「BtoBを打ち出したことは、2013年において、大きな成果となって表れている。BtoBに関する商談がグローバルにおいて進んでいるのがその証。ここでは予想以上の成果が出ている」とする。
もっとも難しい家電事業
もうひとつ、2013年のなかで、パナソニックが明確に打ち出したのが、2018年に売上高2兆円の柱を3本つくるという計画だ。
住宅、車載関連、そして家電でそれぞれ2兆円の売上高を目標とし、3つの事業が、パナソニックを支えることになるとする。
住宅事業、車載関連事業は、いずれも現在からの倍増を前提として計画。それに対して、家電は現在の1兆8000億円規模を約10%上乗せするという計画になるが、最も難しいのが家電事業だと捉えている。
というのも、地デジ以降後の国内テレビ需要の反動が長期化し、プラズマテレビからの撤退という要素を持つパナソニックにとっては、今後もAV機器事業が厳しい状況にあるのは明らか。また、白物家電においても、成長市場である新興国のビジネスを拡大しても単価下落が懸念されるほか、円安の影響で、海外生産を中心とした白物家電の価格上昇も懸念材料だ。今後、売り上げ減少、収益悪化が見込まれるなか、2兆円の絵をどう描くかが課題といえる。
住宅事業・車載関連事業の未来像は見えつつある
これに対して、住宅事業、車載関連事業は、ともに1兆7000億円の絵までは描けているようだ。車載関連事業では、今年夏には1兆4000億円までが見えているとしていただけに、この半年間で3000億円程度が見通しに積あがった計算だ。テスラモータース向けの供給をはじめとした、EV関連需要の増大もこれを下支えしているといえる。
住宅、車載関連事業における2兆円に向けた残り3000億円に関しては、いずれも非連続事業での確保ということになりそうだ。M&Aなどの動きもこれにあわせて出てくることになろう。
止血したあとは、やはりどう攻勢にでるか
そして、「まずは止血」という言葉で表現していた赤字事業の撲滅に関しても、2015年度での全事業黒字化に向けての取り組みを、徹底したリスク管理のもとに進めている姿勢をみせる。
「どんなリスクがあるのかを洗い出し、2015年度には最悪のシナリオになったとしても、黒字化することを各事業部に求めている」と津賀社長は語る。
2014年には、2兆円の道筋を明らかにし、赤字撲滅の道筋も明確にする考えだ。そうなれば、反転に加えて、やはり攻勢の部分が重要になるといえそうだ。
2014年はどんな攻勢を仕掛けるのか。まずは新年の津賀社長の第一声が気になる。
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