低消費電力性能は一歩及ばず
性能面では最新のGeForceに比肩するものを見せてくれたが、肝心の消費電力はどうなのだろうか? 280Xの時はワットパフォーマンスの良さを見せてくれたが、GPU自体が大きくスペックアップした290や290Xは、それなりに消費電力が増大していることが容易に想像できる。計測には「Watts UP? Pro」を使い、システム起動10分後と「3DMark」の「Fire Strike」デモ中の同一シーンにおける安定値を計測した。
290のアイドル時の消費電力が少々大きい気がするが、スペックアップして性能を稼ぎきた分、消費電力も一気に上がっている。PowerTuneが刷新されたとはいえ、28nmプロセスのGCNをそのまま使い、かつスペックアップしたのだから消費電力が増えるのは自明の理だ。
UberとQuietの違いは?
最後にUberモードとQuietモードの間で何がどう変化するかチェックしてみたい。テスト機材の事情により、この部分のみ290を使って検証を行なうことにする。
テスト内容は前述のテスト環境をFractal Design製のATXケース「Define R4」に格納し「Tomb Raider」のベンチマークモードを30分連続で走らせた状態を作り、その間「GPU-Z」のログ機能を使ってコアクロックや温度などを記録する、というものだ。実行時はケースファン等は最低速度で動かしているが、密閉性の高いケースゆえビデオカードには辛い環境だ。
このテストでわかる通り、Uberモードはファンの回転数の上限を少し上げることで、高負荷が持続してもクロックが落ちにくくなるというもののようだ。密閉された空間の中ではQuietモードだとクロックがストンと落ちるが、かなり小刻みに上下している点にも注目したい。
最後にQuietモードとUberモードでゲームの描画性能に違いが出るかをチェックしてみた。両モードで30分ずつ「Tomb Raider」のベンチマークモードを30分維持し、そのままの状態でもう一度計測する。先に使用した「Tomb Raider」テストの結果(これはバラック状態で取得)と比較し、クロックが落ちているかいないか比較してみたい。
Quietモードではクロックが落ちてしまうため、フレームレートもそれなりに落ちる。この傾向はGeForce 700シリーズと全く同じ。この差を生み出しているのはファンの回転速度で、Quietモードではファン回転速度は40%が上限だが、Uberモードでは55%まで上がる。今回試した290の場合、実測値はQuiet時2070rpm、Uber時2510rpmを記録した。
GeForceの場合“ベースクロックは基本的に常時維持され、熱でダレてきた分ブーストしなくなる”という感じの動作だが、“290/290Xの場合は熱ダレすると遅くなる”と表現するのがピッタリな印象だ(やっていることは似たようなものなのだが……)。
今回試した290リファレンスカードの場合、クロックの最小値は665MHzとかなり下まで落ちる。強力な冷却システムの搭載されたカードでないと、せっかくのGPUの持ち味が損なわれてしまうといえるだろう。
オリジナルファン搭載なら買い
だが次なる刺客の存在が気になる
駆け足で290および290Xをチェックしてきたが、消費電力はGeForce 700シリーズにまだ及ばないものの、ゲームの描画性能は素晴らしい。ゲームエンジン次第な部分もあるが、290XならGTX TITANをも倒せる性能が出せる点は、AMD派大喜びといったところだろう。
今回、2枚のリファレンスカードを使ってみたが、どちらもアイドル時はほぼ無音だが、高負荷時はQuietモードでも47.1dBA(暗騒音は約35dBA)と結構気になった。リファレンスカードのクーラーはブロワー型なので仕方のない部分ではあるが、快適さも重視するなら、リファレンス仕様のカードは見送り、ビデオカードメーカー独自の静音ファン搭載の製品を狙う方が得策だ。
しかし、NVIDIAはすでに新GPU「GeForce GTX 780 Ti」の仕込みを終え、発売解禁まで秒読み段階に入っている。型番的にGTX TITAN未満GTX780以上のGPUになるだろうと推測できるため、おそらくは290XとGTX TITANが“ゲーマーにとっての最高のGPU”となることは間違いない。
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