R9 290X、R9 290、R7 260のみに
搭載されるTrue Audioは既存の技術?
では、そのTrue Audioに関してだ。新コアであるR9 290X/290とR7 260にのみ搭載されたTrue Audioであるが、R9 290X/290はともかくR7 260のグレードをわざわざこのために新コアとして作り直したというのは、正直考えにくい。
もともとBonaireコアそのものが今年に入って登場したもので、新規コアだとするとわずか半年で作り直す計算になるからだ。したがって、おそらくRadeon HD 7790が登場した時点で、このTrue Audioのハードウェアはすべて搭載されており、単に今まではそれを無効化していたと考えた方が順当だろう。
Pirates Islandsは
20nmプロセスになる
最後はもっと先の話をしよう。Volcanic Islands世代は28nmプロセスで走ってしまったので、20nmは次のPirates Islands世代になるといわれている。
現状は詳細、登場時期など完全に不明であるが、トップエンドは当面Radeon R9 290Xが担うことになるので、最初はR9 280Xなどのリプレースになるかもしれない。実はこのトップエンドが当面変わらないという理由は、もう1つメモリーに関する話がある。
まだ正確な動作速度はわからないが、R9 290Xで512bit Busというカードを切ってしまったし、速度の方はすでに7GHzに達する製品があるため、次世代製品では同じ技術を使う限りメモリーがボトルネックになって性能が上げ難くなると予測される。
解は一応あって、Micronなどが推進しているHMC(Hybrid Memory Cube)である。すでにMicronはこのHMCのサンプル出荷を開始しており(関連リンク)、2014年には4GBデバイスも用意される。
例えば512bit Busで7Gbpsではシステム全体のスループットは448GB/秒ほどになる。HMCの場合、160GB/秒のものがすでにあるため、これを4つ搭載すれば640GB/秒とGDDR5を上回る帯域になる。2GB構成なら×4で8GBなので、トップエンド製品としては手頃な容量だろう。
ただこれはまだサンプル出荷の段階なので、量産製品に使うには評価などに時間がかかる。そんなわけで、HMCを搭載したPirates Islands世代のトップエンドは早くて2014年末だろう。
むしろR9 280Xの後継グレードだとまだGDDR5で間に合う分、早く出しやすい。あとはTSMCの動向次第だが、最初の製品は2014年の前半に登場しても不思議ではないと筆者は考えている。
![](/img/blank.gif)
この連載の記事
-
第775回
PC
安定した転送速度を確保できたSCSI 消え去ったI/F史 -
第774回
PC
日本の半導体メーカーが開発協力に名乗りを上げた次世代Esperanto ET-SoC AIプロセッサーの昨今 -
第773回
PC
Sound Blasterが普及に大きく貢献したGame Port 消え去ったI/F史 -
第772回
PC
スーパーコンピューターの系譜 本格稼働で大きく性能を伸ばしたAuroraだが世界一には届かなかった -
第771回
PC
277もの特許を使用して標準化した高速シリアルバスIEEE 1394 消え去ったI/F史 -
第770回
PC
キーボードとマウスをつなぐDINおよびPS/2コネクター 消え去ったI/F史 -
第769回
PC
HDDのコントローラーとI/Fを一体化して爆発的に普及したIDE 消え去ったI/F史 -
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ - この連載の一覧へ