テレビ内蔵をはじめコンテンツ再生機能は豪華
インドネシアらしい点でいえば、テレビが映ることをアピールしている点も挙げられる。ジャカルタのケータイマーケットを見ると、フィーチャーフォンでテレビが見られることをアピールする機種が目立つので、テレビ機能はあるにこしたことがないのだろう。
動画や画像や音楽のプレーヤー機能はあるが、コンテンツは入っていない。中国だと購入時に当然のサービスとばかりに音楽・動画・ゲームなどのコンテンツを多数入れたmicroSDカードをプレゼントするが、ジャカルタのケータイマーケットに多数いる「ダウンロード代行ショップ」で、エンタメ系コンテンツやコーランの音声ファイルなどの宗教系コンテンツをインストールする。
また海賊版だけでなく、電信キャリア各社やエンタメコンテンツが安価で販売されていて、正規でもダウンロードされている。
mito 900の購入価格は52万5000ルピア、日本円にして5000円だ。mito 900だけを紹介すると「すわ、mitoはなんと怪しいメーカーか!」と感じるかもしれないが、このmitoというインドネシアのメーカーは、ノキアやサムスンとインドネシア市場でシェア争いしているメーカーで、一般的とも無難ともいえるデザイン・スペックのスマートフォンやフィーチャーフォンも多数リリースしている。
mito 900は数あるmito製品の中で最も(ある意味)尖っている機種といえるが、同社はフィーチャーフォンにしろスマートフォンにしろMediaTekのCPUを採用する機種が多く、フィーチャーフォンのOSは必然的にMediaTek製MTK OS採用となる。このため、mito 900にプリインストールされたソフトは同社の他機種にもインストールされている。
インドネシアらしい独特なスマホを期待
mitoはさまざまな機種をリリースしているが、インドネシアにはゲーム好きは多い一方で、PCにおいてもスマートフォンにおいてもスペックは低めの機種ばかり。
フラッグシップモデルでもCPUはMediaTek製の4コア 1.2GHz、GPUはPowerVR SGX544MP止まりとなっており、ハイスペックとはいい難い(値段は240万ルピア、日本円で2万円強)。
現状、mitoの製品はmito 900しかり中国に組み立てを任せているが、近い将来mitoの自社工場で製品が組み立てられるというニュースがある。ともなれば今後mitoがよりハイスペックで安い、コストパフォーマンスの高い製品がリリースされるのか、欲を言えばその先に中国では見かけないmito 900のような製品が次々に生み出されるのか、期待したいところだ。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。
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