この1年半は人生のなかで、一番きつかった
この1年半は人生のなかで、一番きつかったと坂本氏は語るが、そのきつい1年半で、エルピーダは大きく変革したとも語る。
「エルピーダは、マイクロンに嫁に行く立場。そのためには持参金がなくてはいけない。この1年半の間に、健全な利益体質を確立し、DIPファイナンスの借入金を返済した。問題となっていた広島工場の高いコスト体質についても改善し、レックスチップよりも低いコストでの生産が可能になった。社員を削減せず、主要なモバイル企業との契約が確立できたことも大きな成果であった。こうした成果があって、やっとマイクロンと結婚できるようになった」。
だかその一方で、マイクロンによる買収によって、今後、エルピーダの社名、ロゴは消えることになる。
ダーカンCEOは、「これは会社の最適化のためであり、日本における法人も、マイクロン・メモリー・ジャパンという形で統合する」と語る。
これに対して、坂本氏も、「ロゴが2つあるのは、顧客が混乱するだけ。早期にひとつのロゴに統合するのがいい」と異口同音に語る。
だが、坂本氏はこうも語る。
「名前は変わるが、エルピーダの火は消えない」
続けて坂本氏は、「エルピーダの開発体制や、オペレーション体制は残ることになる。また、1人ではできなかったことが、2人ならばできるようになる点にも期待している。日本のエンジニアと米国のエンジニアが一緒になって、良い化学反応が起こり、新たな製品を創造してほしい」と述べた。
坂本氏のエルピーダに対する想いがこもった言葉だといえよう。
サムスンに対抗できる最強のメモリーカンパニー
一方で、エルピーダメモリの新社長に就任した木下嘉隆氏は、「エルピーダがマイクロングループ入りすることによって、サムスンに対抗できる最強のメモリーカンパニーが誕生した。エルピーダの強み、良い点を漏れなく、マイクロングループに持って行き、最高のメモリーソリューションを提供したい」と抱負を述べた。
エルピーダ最後の社長の役割は、マイクロンへの統合を円滑に進めることとなる。
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