今回のことば
「『ソニーがない世界はつまらない』。そういってもらえるようにならなくてはいけない」
(ソニー・平井一夫社長)
ソニーが開催した第96回定時株主総会は、過去最高となる1万693人の株主が参加した。
議長を務めたソニー・平井一夫社長は、2012年度の取り組みについて説明。「2012年度は、ソニーの歴史のなかで、最も多くの大胆な構造改革を実施した年」とする一方、「私自身、16ヵ国45ヵ所の拠点を訪問し、社員と議論をしてきた。そこで、ソニーが取り組むべき課題と、ソニーが持つ潜在的な力を確認することができた」と、社長1年目の活動を振り返った。
世界と共有したのは危機感
世界中の拠点を回って、平井社長が社員に語ってきたのは「危機感を持ってほしい」ということだった。
「このままではソニーは復活しない、もっとひどいところに行ってしまうということを、ソニーの社員、マネジメントが同じ危機感として共有しなくては、ソニーは良くならない」
そして、平井社長がすべての拠点で議論してきたのが、「ソニーがソニーらしく存在するにはどうあるべきか」ということだった。
「ソニーは、経験したことがない驚きや感動を提供し、好奇心を刺激する会社でなくてはならないということ。心を動かす感性価値を生み出すのが、ソニーの製品である」と前置きし、「機能価値は提供できているが、感性価値がまだ十分ではない」とする。
平井社長は、人を感動させる感性価値が、いまのソニーには足りないと明確に指摘するのだ。
その平井社長は、株主総会の席上、自らのソニー体験について語り出した。
「私の祖父や父が、ソニーのファン。子供の頃から、ソニー製品に囲まれて育った。オープンリールレコーダーや、5型マイクロテレビ。そして、お小遣いやお年玉を貯めて、短波ラジオのスカイセンサーを購入して夢中になった。スカイセンサーで、世界中の短波放送を自分の部屋で聞き、世界とリアルタイムにつながっていることに喜び、好奇心に満ちあふれた」とする。
これが平井社長自らが体験したソニーが提供する感性価値だというわけだ。
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