ファブの動きから逆算する
「Maxwell」の投入時期
20nm世代の動向がどうなるのかについてはNVIDIA/AMD/Qualcommと同様に大口のユーザーで、しかも先端プロセスの開発に関してTSMCと協業体制を築いているザイリンクスの動向を見るのがわかりやすい。
ザイリンクスは20nmプロセスを使った製品に関してテープアウト(設計完了)を2013年第2四半期にしており、これに続いて16nm FinFETプロセスを利用したテストチップも2013年中にリリースするとしている(関連リンク)。
GPUはザイリンクスの提供するFPGAとまた違った難易度がある。FPGAの場合、回路規模は巨大だが回路そのものはシンプル。対してGPUは回路そのものがかなり複雑でバラエティも多い。とはいえ、ザイリンクスとさして変わらないスケジュールで設計や試作を行なっているのは確実である。でないと最初のロットで製品が出せないからだ。
ここから逆算すると、Maxwellは現在テープアウトに向けて最後の追い込み、もしくはテープアウト済くらいでないと間に合わないし、これにあわせてリファレンスカードの設計なども佳境に入っている頃であろう。うまくすれば9月末頃には最初の試作チップが完成し、そこから動作確認を経て量産をかけると、早ければ2013年末、遅くても2014年の2月頃までには量産チップが完成する計算になる。そこで図ではMaxwellの投入時期を2014年第1四半期とさせていただいた。
ちなみにこのMaxwellの構成、現状ではまったく情報がないので、図では暫定的にGeForce GTX 780と同じ構成とさせてもらった。実のところMaxwell世代でも、特に最初に出てくるGeForce GTX 880では、消費電力そのものは下がるが、性能面ではそれほど大きな飛躍はないと筆者は考えている。20nm世代で回路密度は高まるが、動作周波数そのものはあまり引き上げられないと思われるからだ。
20nmプロセスの名前がCLN20SOC、とあることからわかる通り、このプロセスは28HPMの後継とみなすのが一番実情として近く、ということは28HPMよりは30%高速とすると、28HPと同程度ということになる。むしろ動作周波数を上げるより、回路密度の向上を生かして回路規模を大きくするほうが性能を上げやすい。
GK110コアは551mm2のダイサイズとなっているが、これがそっくりそのまま1.9倍の密度になったとするとダイサイズは290mm2となり、294mm2だったGK104と同程度のコストで生産できることになる。
実際にはGK110そのままだと多少無駄が多いし、全部の回路が均一に1.9倍の密度にできるわけではないから、シェーダーの構成をGeForce GTX 780相当にして300mm2未満のダイサイズに収め、若干周波数を引き上げる程度であろう。それでもコスト面ではかなりインパクトもあるし、消費電力もGeForce GTX 780よりも低く収まると思われる。
ただこれはPC向けであり、GPGPU向けにはGM100になるのかGM110になるのかはわからないが、完全な機能を持った製品を別途作ることになると思うが、それが2014年中なのか2015年なのかは判断しにくいところだ。
NVIDIAは相変わらずビッグダイ路線(巨大なダイ1つで性能を上げる)を放棄していないので、開発は最初のコア(GM104?)の後になると思われる。最初のコアからビッグダイにチャレンジして問題があったらリカバーに時間がかかりすぎるためだ。
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