地デジ・BD映像を4K相当にアップコンバート! タイムシフトマシン対応で長時間録画!
4Kを当たり前にする東芝「レグザZ8Xシリーズ」レビュー
2013年06月07日 11時00分更新
“本物の4K”に近い映像を見せる「高解像度シネマ」
上記のような良さは地デジ映像だけでなく、一般的なブルーレイでも感じることができる。それは映像ソースの入力や出自の検出、それぞれに合わせた適切なパラメータによる超解像が行われているからだが、昨今のブルーレイにはとりわけ解像感の高いソフトがある。
それは4Kシネマカメラで撮影されたり、大型フィルムで撮影したものを高解像度スキャンして映像処理した映像をブルーレイ化したもの。
昨今は『アラビアのロレンス』『サウンドオブミュージック』『ウエストサイド物語』『ベンハー』など、大型フィルムで撮影された過去の名作が数多くリマスターされているのに加え、4Kシネマカメラでの新作や『ダークナイト・ライジング』に代表されるようなIMAXフィルム撮影作品なども合わせると、これがバカにできないぐらいのコンテンツライブラリになる。
これらの作品は4K以上の解像度でマスタリングされ、最終段階でフルHDへと縮小フィルタをかけるのだが、昨今はこの4Kコンテンツの良さを殺さないよう、マスタリング行程で信号の折り返しが発生しないギリギリのところまで入るようフィルタ特性が追い込まれている。
そこで一般的な4Kマスターから出力されたブルーレイの特性に合わせ、より積極的に情報復元を行うのが「高解像度シネマ」だ。前述したようにレグザエンジンCEVO 4Kは、特定のデータベースを持たず各種映像処理のパラメータで画質が追い込まれているので、こうした対応を画像モードの切り替えひとつで簡単に行える。
正確な4K復元を行うため、HDMIからの入力バッファを非圧縮の12ビットでキャプチャ(通常モードは10ビット)、色信号も4:4:4のフルフォーマットで受け、微細な信号をすべて受け止め、より高解像度の映像であることを意識した設定で超解像を行う。また、良質の信号であることを期待して三次元方向の輝度NRを抑制し、動きに伴うテクスチャーのボケを低減する。
と、言葉で書くととても難しいのだが、映像を見ればその効果は一目瞭然。
筆者はこのところ、世界中の様々な場面を70ミリフィルムに収め、8Kフィルムスキャンして編集。4KあるいはフルHDへと変換した高画質映像『Samsara』というブルーレイソフトを使って映像チェックしている。
この中のチャプター3、チベット仏教の寺院で描かれる砂絵をマクロで撮影したシーン、様々な街、風景をロングショットで収めたシーンなどは、見事に4Kらしい奥行き感が出てくる。
適切な4Kコンバートが行われず、どこかに輪郭強調処理が加えられていると、不自然なボケ味の変化となり、ペターっと平面的な描写になるが、しっかりと微細情報までを復元できていると、スーッと自然に高域まで伸びた、質の高い写真データのような写実感溢れる映像になってくる。
このまま片眼を塞いで画面への距離感を取り去ってやると、まるで3D映像を見るかのような圧倒的な立体感が出てくる。このクセのないリニアな表現は“お見事”という他なかろう。オーナーになったならば、是非とも「高解像度シネマ」の威力を体感して欲しい。