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地デジ・BD映像を4K相当にアップコンバート! タイムシフトマシン対応で長時間録画!

4Kを当たり前にする東芝「レグザZ8Xシリーズ」レビュー

2013年06月07日 11時00分更新

文● 本田雅一 撮影●曽根田元

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「感動指数」を上げるための4K化

 テレビに必要とされる解像度は、画面サイズと視聴距離に依存している。一般にハイビジョンテレビ(フルHDテレビ)は3H、すなわち画面の高さ×3の距離から見るのが適切とされており、それよりも近付くと画素の粗さが目立ってしまう。

 もっともテレビに近付くと、視聴距離に関係なく大型テレビでは画素の形状や大きさが見えてしまい、やや興ざめするのも事実だ。経験則から言うと60インチ程度にその閾値があり、フルHDで60インチ以上になると画素の粗さを認識できてしまう。

 それ故、東芝が同じZシリーズの中で、58インチ以上を4K化という判断を下したのは実に正しいと思うのだ。テレビとしての視聴スタイルを極限まで引き出し、日本のテレビ視聴事情に合わせた機能性を持つZシリーズ。そのZシリーズを大型化すると、それに合わせて画素を細かくする。

 東芝ではこれを「感動指数」という言葉で説明していた。感動指数とは「精細感×画面サイズ」だそうだが、画面サイズが大きくなるばかりだと、あるところから画素が見え始めて精細感が失われる。故に大画面の効果をきっちりと得るためには、精細感を落とさずに画面サイズを大きくせねばならない。だから4K化ということだ。

 液晶パネルにとって、高精細化は自然な進化の流れであるため、映像回路がきちんと対応するのであれば、中期的には4Kパネルへと移行していくのは自然なことだ。東芝が特別な高級モデル(たとえばかつてのCELLレグザ)ではなく、一般ユーザーの手が届く範囲に4Kテレビを持ってきた理由は、高級機でなくとも大型化をするのなら4K化は必要だとの判断からだという。これは実に正しい。

レグザZ8Xシリーズは、フルHDの4倍の数値(3840×2160画素)を誇る高精細4Kパネルを搭載している

 しかし、問題は縦横2倍に向上した解像度を活かせるかどうかである。冒頭でも述べたように、フルHDのソースばかりで能力が活かせないのでは困る。しかし、これが緻密でエラー感のないクリーンな4Kアップコンバートを実現していて驚かせてくれた。

あらゆる映像ソースから4Kパネルの良さを引き出す
レグザエンジンCEVO 4K

新開発のレグザエンジンCEVO 4K

 世に超解像技術と呼ばれる画像処理は数多くあるが、適切な設定で処理が行われなければ、高画質になるどころかノイズを増幅してしまいかねない。4Kパネルを活かすには、映像の質を適切に見極めてノイズ処理を行い、映像の特徴を引き出すように超解像処理をかける必要がある。

 昨今はデータベース型といって、4Kカメラで撮影した映像とフルHDカメラの映像の差分から、映像の特徴ごとに復元処理を行うためのデータベースを作成しておき、このデータベースの質、画像処理の質を高めることで超解像を改善していくシステムが多い。

 この場合、どこかに想定するカメラの特性を置く必要があり、映像ソースの特徴が大きく異なる場合は、データベースを切り替える必要もある。実際、複数データベースを持つ製品もあるが、それを自動的に選択させるのは困難だ。よって、その時代の映像ソースに合わせ、また製品そのもの絵作りポリシーに従ってちょうど良い画質を目指すことになる(もちろん画処理の味付けは選ぶことができるのだが)。

 レグザエンジンCEVO 4Kが実現するシネマ4Kシステムの特徴は、こうしたデータベースを持っていない。その代わりに絵柄解析を行い、解析結果に応じて適応的な超解像をかける。実際の処理は、微細なテクスチャ復元、あるいはピーク輝度が出ている部分の先鋭感を予測復元するなど、様々なアプローチからの超解像処理が行われるが、データベースに頼っていないが故の良さがあるのだ。

レグザエンジンCEVO 4Kと高精細大画面4Kパネルで構成される「シネマ4Kシステム」

※拡大画像は、フルHDパネル(65J7)と4Kパネル(65Z8X)にブルーレイディスクに記録したフルHDの映像を映しだしたもの(実写)です。


 たとえばもっとも良く見るだろう地上デジタル放送、あるいは手持ちのパッケージソフトに数多く残っていると思われるDVD。これらフルHDに達していない解像度の映像を、シネマ4Kシステムは超解像処理でフルHDへとアップコンバートし、その後、4Kへの超解像処理を行う。元より高解像度のブルーレイなどは、HDMIからのフルHD入力が行われ、それに対して直接4K超解像がかかるわけだ。

DVDや地デジといったフルHD未満のソースでも、超解像処理を経ることで、4Kパネルでも見やすい映像となる。図は4K超解像技術の「微細テクスチャー復元」

4K超解像技術の「輝き復元」。光沢部分を物体色と分けた上で再合成することで、輝き感の表現が増す

同じく4K超解像技術である「絵柄解析 再構成型超解像技術」は、映像の部分に応じた処理を施すことによって、画面内に存在する質感の異なる物体の精細感を同時に向上させる

※比較画像は、効果を説明するためのイメージです。

 実際の映像を見る前に心配していたのは地上デジタル放送が、まともに超解像されるのだろうか? という心配だ。ところが、これが実にS/N感をよく引き延ばしてくれる。もちろん、地上デジタル放送だけに、絵の情報量が劇的に増えるわけではない。しかし、ブロックノイズが目立ちやすいテロップのエッジ部分を含め、クリーンで見やすい映像を実現している。

 画質チェックでは、ついつい“高画質な映像ソースだけ”で確認しがちだが、やはり普段からよく見ている放送の画質が適切に見えるかどうかは大きなポイント。もちろん、完全に破綻してブロックだらけになっている画像には超解像はかからないが、動きがゆるやかになってスッと解像感が出てくると、とたんにレグザエンジンCEVO4Kの良さが出てくる。

 今年1月、CESでの参考出品時には、少しばかり精細感を出そうとしすぎて、輪郭部がチラチラと見づらくなる傾向を感じていたが、製品版では見事に克服してくれたようだ。

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