無料通話が特徴のインスタントメッセンジャー「LINE」で、中国本土向けのフィルタリングが行なわれていることが各所で報じられている。きっかけとなったのはLINE台湾の陶韻智氏のFacebook上での発言だ。
「中国本土のユーザーと認定されたとき、フィルタリングが働き、内容の判断をします。これは中国の法規に合わせたものであり、あらゆる中国のネット企業は例外なく行なう必要があります。」
「クライアント上で判断は行なわれ、サーバーに送られることはありません。中国本土のユーザーでない場合は内容が監視されることはありません。LINEは日本の企業のLINEが運営しているので、個人情報保護は日本の法律で管轄されています。安心して使用ください。」
……というのが陶韻智氏の発言で、またLINE(日本)にこれについて質問したところ「中国本土で提供されている簡体字の中国版LINEは、グローバルで提供しているLINEとは異なります。2012年12月に“LIANWO”(連我)として中国本土用にローカライズしてリリースしたものです。LINEとLIANWOは異なるパッケージ(サービス)です。」と回答をもらった。
LINEの中国展開については以前の記事「中国App Storeで1位になった「LINE」の明暗」を参照されたい。
さて陶韻智氏の発言をきっかけに、「LINEでも中国向けに検閲がはじまるのか」とばかりに、検閲にナーバスな香港や台湾のメディアがこれを報道。さらに台湾のHiraku氏(@hirakujira)がアプリを分析し、NGワードリストを抽出した(関連サイト)。
以前、中国政府がWindows搭載の全PCに対しフィルタリングソフト「緑●・花季護航」(●は土へんに覇)のインストールを義務化しようとしたときにも、NGワードリストが抽出された。
そのNGワードリストは過去にネット言論対策が行なわれていたとは思えないほど貧弱で、とても言論を厳しく管理する手助けをするようには見えず、「とりあえず法にあわせて作りましたよ」といった感を受けた。
さらにそのNGワードリストを元に、今回の検閲の手法はどのようなものかを確認すべく、安全圏からNGワードを入力する人や、中国国内からNGワードを入力する人が現われた。
チェックした複数人のレポートからも、筆者自身のテストでも共通して判明したことは、日本の携帯電話番号で登録したならばチェック機能は働かない、ということだ。
逆に中国の携帯電話番号で登録した場合、日本語PC版でもスマホ版アプリからでもNGワード入力時にエラー画面が日本語で表示される。日本の携帯電話番号でLINEと紐づける限り、サーバーにログが送られることなく利用できる。今のところは安心して利用されたい。
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