マウスコンピューターの法人向けPCブランド“MousePro”(マウスプロ)が、2013年2月に2周年を迎えた。パソコン市場が伸び悩む中、確実に売上を伸ばしている同シリーズ。その躍進の理由を同社はどう考えているのだろうか? 担当者を取材した。
法人ユーザーのニーズに応える“高品質”を目標に掲げ、初期不良率の低減を目指している。出荷前のエージング時間を個人向けパソコンより長めに確保するなどし、標準1年の保証期間を最長5年に延長できるメニューを用意できた(一部機種、個人向けは最長3年)。長野県 飯山工場での国内生産に加え、マウスコンピューター発祥の地・埼玉県 春日部市での国内サポートも提供する。
“最短当日修理返却”を含んだ、追加保証“安心パックサービス”は売りのひとつだ。2010年に開始し、個人向けパソコンでも利用できるサービスだが、もともとは「オンサイト修理並みの迅速な対応を期待したい」が「セキュリティー上、外部の人間は立ち入らせたくない」という法人ならではのニーズに応えて用意されたものだ。
前年度比4割以上の成長率、登録ユーザーもほぼ倍に
MouseProの筺体は個人向け製品と完全に異なる。スペックもビジネスユーザー向けに極力ムダを省いた構成だ。シリアルポートやIEEE 1394ポートなど個人向けとは異なる法人向けならではのBTOメニューも取り揃えている。
シリーズは2012年度も順調に成長を続けており、出荷台数は2011年度比で約40%増。マイアカウントと呼ばれる会員制度の登録数も約90%増という結果を残した。年度が締まるまでの時間はまだあり、「今年度の成長はまだ続く」と担当者も胸を張る。
XP搭載がブランド立ち上げのひとつの目玉に
誕生から3年目に入ったMouseProだが、まずはマウスコンピューターが法人向けの新ブランドを立ち上げたきっかけについて触れておこう。
実はマウスコンピューターは、MouseProを本格的に立ち上げる以前から、GSXシリーズなど法人向けパソコンのビジネスを展開していた。しかし、最新スペックをタイムリーに提供することが求められる個人向けパソコンに対して、法人向けパソコンでは安定性やラインアップの継続性が重視される。性格に違いがあった。
法人向けパソコンで使用するパーツは必ずしも最新である必要はない。むしろ発表からある程度の期間を経たほうが、不具合を心配せず使える面がある。
また、規模の大きな導入を考慮するなら、基本仕様の変更がないモデルを1年、2年と調達できる体制を約束しなければならない。
これを個人向けパソコンと同列に扱うと、スペック面で見劣りする製品がラインアップに長く残り続けることになる。販売が長期になればなるほど、個人向け最新モデルとの価格ギャップが広がっていく点は悩みのひとつだった。
そんな事情を考慮し、かつ品質の高さもアピールできる独自のブランドが必要という意見が社内で大きくなった。結果として生まれたのがMouseProシリーズというわけだ。
新ブランドは、Windows XP販売終了のタイミングで立ち上げた。「XPが終了し、多くの企業が新端末購入を検討するタイミングで『MousePro』を立ち上げれば、多くの企業へ法人向けブランドを提供できる」。そうアピールするのが狙いだった。