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『転換期を迎える環境ビジネス 概説REDD+』刊行特別インタビュー 第1回

低炭素社会の実現に向けて自社の技術をどう生かしていくのか

2013年01月17日 11時00分更新

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空間情報技術を生かした街づくりのプロジェクト

 当社の設立は、終戦から2年後の1947年。もともと戦後の復興を契機に創業したということもあり、公共インフラの整備や安全な街づくりといったことに対しては、積極的に関わってまいりました。

 この間、航空写真測量から始まって、最先端の高度な計測技術を磨き上げてきています。「空間情報技術」と呼ばれるこうした技術は、正確な地図づくりや都市計画に使われるのはもちろんですが、自然エネルギーやスマートコミュニティなど、環境に関連してくるビジネスにおいてもさまざまな形で重要な役割を果たしています。

 その一例として挙げられるのが、2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興事業です。震災後、エネルギーや電力など、国の根幹に関わる政策が大きく転換せざるを得ない状況になったのはご存じの通りです。東日本大震災からの復興事業においては、単にインフラをつくり直すということではなく、環境やエネルギーといった最新技術とベストミックスして、新たな街づくりを提案していくことが求められているのだと思います。

 当社では、東北の復興事業の中でも最初にスマートコミュニティを具現化するプロジェクトとして、宮城県仙台市田子西地区での「田子西エコモデルタウンプロジェクト」を進めています。同プロジェクトは2009年から取り組んでおり、当初は再生可能エネルギーの積極的な活用が主軸にありました。震災以降は従来の考え方に加え、「災害に強い街づくり」という新たなニーズも生まれてきました。

 街づくりはコミュニティづくりであり、地域住民の方々に何を提案するかが重要な要素です。特にスマートコミュニティに関しては、まだ概念としての部分が大きく、試行錯誤を繰り返しながら進んでいるのが現状です。東北でこうしたプロジェクトに取り組むことができたことは、当社としても意義深く、環境エネルギーを街づくりに生かすための、一つのモデルケースになったのではないかと自負するところです。

 こうした日本の先進的な技術は、新興国の新たなインフラづくりにも生かすことができます。例えばこの「田子西エコモデルタウンプロジェクト」も、パッケージ化して海外へ持って行くといったことも考えられるでしょう。世界的な地球環境の保全に貢献しながらビジネス展開できるという意味では、ビジネスチャンスとしても大変、意義深いのではないかと考えています。

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