統合の狙いと異なる得意分野を持つ2社
脱原発の動きをはじめ、世界的にエネルギーおよび環境に対する関心が高まるなかで、火力発電事業は大きな注目を集めている。それだけに、市場規模も大きく、シーメンス、GE(ゼネラル・エレクトリック)をはじめとする欧米メーカーに加え、中国、インドなどの新興国企業が台頭。グローバルでの競争はますます激しくなるのは明らかだ。
そうしたなかで、日本勢同士の争いを避け、一緒になって世界で戦うという体制を作り上げることが、この統合の大きな狙いとなる。
三菱重工業の大宮社長は、「国家を代表する企業として、グローバル競争を勝ち抜くために必要な事業戦略について、両社が同じような認識を持っていたこと、技術や製品の相乗効果、補完効果が見込まれることで合意した。エネルギー、環境ビジネスと隣接するスマートコミュニティー市場にも特性を生かしたい」とする。
一方で、日立製作所の中西宏明社長は、「三菱重工業は、市場では恐るべき競合相手。だが、市場で勝ち抜いていくパートナーとして考えると、これほど心強いパートナーはいない」と発言。「海外のメジャープレイヤーに打ち勝つことで、リーディングポジションを獲得し、世界各国で求められている電力の安定化をサポートする存在になる」と、三菱重工業との統合により、国内市場だけでなく、世界市場にも積極的に打って出る姿勢を示す。
三菱重工業は、ガスタービンにおいて、大型が得意な分野であるのに対して、日立は中小型を得意とする。また、地域戦略では、三菱重工業は東南アジアや中東、その他で地盤を持つのに対して、日立は欧州やアフリカで強みを発揮する。さらに日立が持つIT基盤を組み合わせることもでき、この統合は補完的な部分が多いのも特徴だ。
これによって、エネルギー分野で先行するシーメンス、GEを追撃する体制を整えたというわけだ。
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