Window 8をiPad miniで、牽制するアップル
10月23日にアップルが発表した新製品は、3日後の10月26日にマイクロソフトがWindows 8を発表するというタイミングであったという点でも興味深い。Surfaceという、マイクロソフト自身が自社ブランドでタブレット端末を投入することに対して、アップルでは、CPUを強化した第4世代のiPadや、7.9型のディスプレーサイズを採用したiPad miniを新たな投入。対抗力を強めたともいえよう。
とくに、iPad miniは、片手で持てるiPadとして、iPadのモバイル性を高めることができ、さらには、セカンドマシンとしてiPadを複数所有するといった需要も促進しそうだ。2万8800円という価格設定も、2台目需要を活性化させるには十分なものだといえるだろう。
数字が示すアップルの勢い
発表会のなかで、ティム・クックCEOは、2012年を振り返り、「2012年の年初には、今年はイノベーティブな製品を次々に投入すると宣言した。Mountain Lionをはじめ、iPhone 5や、iPod TouchなどのiPod製品群、そして今回のiPad miniや第4世代のiPad。iMacも大きく進化した。約束した通りの製品が投入できたと考えている」と語った。
確かに、アップルから発表された数字をみれば、その言葉は確かだったといえる。
iPhone 5が、発売直後の週末までに500万台の販売台数を達成。電話は史上最速の販売実績となった。また、10月から発売となったiPod Touchなどの新たなiPodシリーズも、わずか2週間程度で、販売台数は300万台に達したという。そして、iPadの累計出荷はこの2年半で1億台に達し、iOS 6を搭載した製品の累計出荷台数は2億台に到達したという。
「PC市場全体の成長率は2%。それに対して、Macは前年同期比15%増という高い成長を遂げている。そして、これは過去6年間に渡り、業界全体を上回る成長を遂げていることにもつながっている」と、クックCEOはアップルの好調ぶりを示す。
今回の一連の発表は、タイミングとしても、Windows 8の発売を強く意識したものであったのは確かだが、それ以上にアップルの強さが強調されたものであったといえよう。
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