今回取り上げるのは、「ASUS Pad TF700T」(以下TF700T)。ASUSTeKのTransformerシリーズは、キーボード搭載タブレットとして確固たるブランドを築き上げつつあると感じるが、特にTF700Tの注目点は、やはりディスプレーパネルに「1920×1200ドット」という高解像度なものを使っていることだろう。
タブレットに高解像度といえば、すぐに思い浮かぶのは「Retinaディスプレー搭載iPad」こと、第3世代iPad。TF700Tのベンチマーク相手は、やっぱりこれになる。TF700Tは第3世代iPadのオルタナティブになり得るのだろうか?
解像度向上の効果は大きいが
16:10の比率には難点も
すでに述べたように、TF700Tの最大の特徴は1920×1200ドット・10.1インチのディスプレーを採用していることだ。ppiで言えば224ppi。第3世代iPadの264ppiには及ばないが、それでも従来との違いははっきりわかる。
日常的に複数のタブレットを見ているが、見た目の解像感でいえば、やはり第3世代iPadのそれは図抜けている。第2世代以前のiPad(132ppi)と見比べると、その差は歴然だ。他方、一般的な10インチクラスのタブレットは、1280×720~800ドット(おおむね160ppi前後)であり、意外と差があった。第3世代には届かないが第2世代よりは良く、解像度面での満足感はさほど悪くない……というのが、今までのAndroidタブレットの解像感だった、と言える。
TF700Tは224ppiになり、もう一段階上になった印象だ。もちろん、第3世代iPadに比べて解像感が足りない、と思うシーンもあるが、数字の違いほどは差を感じない。そもそもこの種の解像感が高いディスプレーは、表示が「美しい」というよりも、「自然」という印象の方が強い。以前の解像度では不満だったものが、かなり自然になって快適になった、と言った方が適切だろう。ウェブなど一般的な表示については、申し分のないクオリティーだ。第3世代iPadと同じく、「ウェブの文字が大幅に読みやすくなるのに、画像だけは眠い」という切なさを体感できる。
特にTF700Tの良い部分は、「Super IPS+」と呼ばれる高輝度モードを持っていることだ。外光が明るく画面が見づらい場合に、明るさをぐっと600cd/m2まで持ち上げて表示することで、全体の見やすさを向上させる。液晶パネルの発色も、今までのモデル(例えばTF201)より向上しているように思える。多少色温度が高いが、色再現性・輝度の点では、この種の製品の中でもトップクラスの出来だ。
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