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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第1回

歴史の中で生まれた感覚、技術と時代の中で変わる感覚

“サイズ”について意外と知られてないこと

2012年09月28日 09時00分更新

文● 前田知洋

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変化するサイズの考え方

 標準的なサイズとはなんだろうか? 僕が初めて自分のサイトを作ったときは、幅を480ドットで作った。これは当時、僕が使っていたディスプレー「Apple AudioVision 14 Display」の情報量(640×480ドット)に合わせた。おそらくその時代に普及していたディスプレーの多くがそれくらいの情報量だったはずだ。

 それから、世の中に普及するディスプレーのサイズと画素数に合わせて、サイトの幅も「480ピクセル」→「640ピクセル」→「720ピクセル」→「865ピクセル」とリニューアルするごとに増やしてきた。最新のサイトの幅は、「Facebook」の新しいインターフェイス、タイムライン(851ドット)やTwitter(865ドット)のPC用のサイトの横幅を参考にした。

最新のディスプレー(iMac 27インチ)で、当時を再現した幅480ピクセルのウェブページ(左)、自分のサイトの最新版(中央)、Facebookページ(右)を並べてみた。いま見ると、幅480ドットのサイトが驚くほど小さくみえる

 もちろん、ピクセルのサイズ(ドットピッチ)が小さくなる一方で、ディスプレーのサイズは年々大きくなってきているので、印象的な大きさはあまり変わっていないかもしれない。

ディスプレーサイズと解像度

 パソコンのディスプレーでは、縦横に表示できる画素(=ピクセル)の数を示すために“解像度”という言葉がよく使用される。

 少し混乱しやすいのは、パソコン雑誌やメーカーのカタログ表記では、解像度という言葉が「ディスプレーで表示できる画素の数(ピクセル数)」と「画面に映像をどれだけきめ細かく表示できるか」の2つの意味で使われているためだ。

最新のパソコン用ディスプレーでは27型で解像度2560×1440ドット(WQHD)なんてものもある

 前者は1280×800ピクセルや1920×1080ピクセルといった形式で、水平・垂直方向に配置された画素の数を表現するもの。文字やアイコンの標準的な画素数はOSごとに決まっているので、表示画素の高いディスプレーであれば1画面に表示できる情報がそれだけ増えることになる。ちなみに、厳密に言うと1つの画素にはRGBなど各色のドットが含まれるので、一般的な液晶ディスプレーでは1ピクセル=3ドットになるが、あまり区別せずに使われている。

 後者は本来の意味での解像度と言える。画素ピッチと表現されることもある。画面にあるピクセルの数(=情報量)を画面サイズで割った数値で、1インチ当たりのピクセル数を示す「ppi」が単位として用いられる。

Macintosh 128K

 かつてのMacintoshでは、画面の解像度は72ppiに固定されていた。これはフォントのサイズを「10ptなら10pt」と指定した際に、「画面に表示されている文字の大きさ」と「紙に出力した文字の大きさ」が一致するよう配慮したためと言われている。

 9インチのモノクロCRTを一体化した初代Macintoshの表示画素数は512×342ピクセル。その後発売された機種でも、しばらくの間は13インチディスプレーなら640×480ピクセル、19インチディスプレーなら1024×768ピクセルという具合に、画素数は画面サイズに比例していた。

 ちなみに現在ではMacintoshでもWindowsでもこうした決まりごとはなく、ディスプレーによって画面サイズと画素数の関係はまちまちである。例えば6月に発表された「MacBook Pro Retina Displayモデル」は2880×1800ピクセルで15.4型。画素ピッチは約220ppiと、同じ画面サイズの従来機(1440×900ピクセル/約130ppi)に比べ、1.7倍稠密に映像を表示できる。

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