後半はテクノロジーの申し子、レアアース&レアメタルへ
展示は後半、レアアースコーナーへ。スカンジウム・イットリウムの2元素をはじめとした、あまりなじみのない、しかしLED発光体や強磁性物質、などテクノロジー好きにとってはこれ以上ないほど重要な元素が並んでいる。
スマホの液晶画面やBlu-ray Discの盤面など、今をときめく電子部品もまさにレアメタルが使われており、見た目は地味だがここが本懐と言ってもいい。体験スペースでは強磁性体の強さを実際にさわって確かめられるところもあり、あまりに磁力が強いため、ケータイ/Suica/デジカメを展示の担当者さんに預けてさわるようになっていた。
最後は人工元素だ。人間が研究所で作り出し、一瞬で消えてしまうものが多いため、ここはほとんど実物展示なし。ごく微量のウランを塗料として使ったガラス、ウランガラスでできたネックレスとイヤリングという、とても珍しいものが見られたのがうれしかった。
そして、展示の最後にかかげられていたメッセージは、地球上の純粋な元素は限りある資源だということ。生物とおなじように、地球上にはとても多様な元素があるのだが、化学反応をさせることで、その姿はたやすく変化してしまう。ヒトはつねに元素の機能性を活かし、テクノロジーを発達させてきた。そのとき「元素の多様性」を保っていけるかどうかが、これから地球とヒトが共存していけるかを決めるカギになるのかもしれない。
むむむ、それではどうすれば……と、思わず最後に考えさせられてしまった。
駆け足でまわってきたが、かなーり濃密な展示だった。Wikipediaを歩いてまわってきたようで、まともにすべてを見ていくとめちゃくちゃ手ごわい。科学好き小学生の自由研究としては異常なほど取り組みがいがありそうだ。もちろん大人にもおすすめで、元素の特質を知ることで、普段のニュースもちがった角度からとらえ、考えられる。世代を問わず楽しめて、日常を変えるきっかけになる。それが元素のふしぎ展なのだった。
というわけでこの夏は元素が熱い! 科学好きならぜひ行ってみて!
特別展・元素のふしぎ
会場 国立科学博物館
会期 7月21日~10月8日
入場料 一般1300円、大学生1000円、小中高500円
休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
(ただし、7月23日、7月30日、8月6日、8月13日、8月20日、8月27日、10月1日は開館)