Microsoftが若きエンジニアをサポートする理由 第3回
ソーシャルメディアを超えるブレインメディアとは!?
「vingow」でマスメディアの主役交代を狙う──JX通信社米重氏
2012年06月04日 11時00分更新
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あえてソーシャルと連携しない~偏りをなくせ
遠藤 「SNSとの連携に話をもどすと、vingowではTwitterやFacebookはニュースの価値を決める道具として割り切って使っていると考えていいのかな?」
米重 「そうですね。SNSには誰かが面白いと思った情報がシェアされています。それを最低限のフィルターとして使っているだけで、以降は完全にvingow独自のアルゴリズムで精査しているんです」
遠藤 「みんながワーッと騒いでるんだけど、vingowのアルゴリズムが大したニュースではないと判断したら、ユーザーにはあまり伝えないという感じ?」
米重 「そうですね。表示しなかったり小さく表示したり」
遠藤 「重要な情報か、そうでないかはどう判断しているんですか?」
米重 「すべての記事に自動でタグ付けをして、ユーザー各個人の趣味・思考や関心に関連するタグのついた記事を表示させています。たとえば、私は航空業界に関心がありまして。たとえば、(画面を見せながら)これは今のバージョンなので少し画面が違うんですけれども」
遠藤 「これ、自動生成されたタグなんですよね」
米重 「はい。すべて自動生成されてます。たとえば、まぁ“JAL”というタグをクリックするとやはりJALに関する記事がたくさん流れてきます。これはご覧のとおり色んなソースからvingowに入ってきた記事が自動解析をされて、私が読むべきとvingowが判断したものが出てくるようになってるんです。他にも、空港に関するニュースであれば空港といった具合に適切なタグが自動で付きます。結果、自分の欲しい情報がちゃんと出てくるんです」
遠藤 「なるほど。記事の大小も自動で判断されるんだ」
米重 「そうですね。今は2種類の大きさにしていますが、新バージョンでは4種類の大きさにします」
遠藤 「テキストの要約もしてるんですか?」
米重 「いえ、要約はしていません。元のウェブページに登録されているサマリーだけで、全文を読みたいときは元記事へのリンクをクリックします。それと、お気に入りに保存できるようにもなっています」
遠藤 「なるほど」
米重 「更に、vingowはユーザーがどんな記事を読んでいるかという情報を蓄積していきます。例えば、ユーザーが読むものにはポジティブな記事もあれば、ネガティブな記事もありますよね。ポジティブな記事を読む時間が長いと、vingowが“この人はポジティブな内容の記事が好きなんだ”と判断するようにもなるんです。また、誰がどのタグをよく見ているか、という情報も蓄積していますので、スマートフォン関連の記事を読んでいれば、そうしたタグからおすすめを拾ってきます」
遠藤 「ポジティブな話に興味がある人にはポジティブ情報だけを表示させるんですか?」
米重 「いいえ、ポジティブな記事であってもまるで中身がないものなら表示させてもしかたありません。最終的には、あくまで記事の質とかいいますか、充実度をある程度アルゴリズムで判断しています」
遠藤 「自分と全く意見の異なる物であっても、それがけっこうしっかりしたものであれば提示されると」
米重 「そういうことですね」
遠藤 「使う人によって内容が偏っているのであれば、それはSNSと変わらないという見方もあるけど、案外そうでもないじゃない」
米重 「まぁ、実際はTwitterでもたくさんの人をフォローしていると、いろんな話題が流れますよね」
遠藤 「よくあるのはさ、僕が気に入ってるものをSNSで発言するじゃないですか。すると、『そんなの前からあったから別に新しくないですね』とか言う人が出てくることがある。そうすると、僕の発言が一気に台無しになっちゃうことがある。あれはやめてほしい(笑)。そういう意味ではソーシャルはとても強力なんだけどいいことばかりじゃない」
米重 「そうですね。インターネットでいえば、検索エンジンは能動的にキーワードを入力しないと情報にたどり着けない。ソーシャルメディアも、フォローするとか、コメントするとか、コミュニケーション能力やネットリテラシーが必要ですよね。そうした能動的な要素を一切省いた初めての受動的な情報収集ができるプラットフォームというと……」
遠藤 「新聞だ!(笑)」
米重 「(笑)。新聞やテレビはきわめて受動的なんですが、そこはまさにvingowが目指しているところでもあるんです。これまでのウェブサービスと違うのは、自分でカスタマイズできないところ。好みのコンテンツを自分で選択することができないようにしています。vingowが勝手に情報収集してきて、勝手に自分の目の前に表示してくれる。これを、私たちは『ブレインメディア』という造語で呼んでいます。このブレインメディアを、検索やソーシャルの次として世界に問うていきたいなと」
遠藤 「なるほどねぇ。僕はメディア論をするつもりは全然ないんだけれども、新聞は公的なもの、という印象があるじゃないですか。だけれど、じつは違う。新聞には、ちゃんと論調もあれば主張もあるから新聞なんですね。テレビなんかも公共の電波を使ってるといわれるんだけど、公共のためだけのものじゃない。テレビ局も意見を持っているし、スポンサーの意見に左右されることもある。新聞の歴史とか、定義を見るとよいのかもしれないけれど、実は、新聞ってのは世論形成をするとかそういうのが重要なファンクションになっている。世論形成は、たとえば新聞社によって、右だの左だのあったりして実はそれぞれ偏っていてそれでよいということでもあるわけですね」
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