CorsairはPCパーツの周辺機器メーカーとして成長を遂げている。古くからの自作PCユーザーからすれば、どちらかというとオーバークロック耐性の高いメモリーメーカーというイメージが強いかもしれないが、3年ほど前を境にメーカーのカラーが変化したように感じる。なんと言ってもその皮切りになったのはPCケースへの参入だろう。“Obsidian(黒曜石)”シリーズと名付けられたフラグシップモデル「800D」(関連記事)を“Computex Taipei 2009”で発表したわけであるが、以後シリーズの拡張に努力しており、前述のフラグシップシリーズ以外にもデザイン性と機能性の両立させた“Graphite(石墨)”シリーズ、そして冷却性能を重視した“Carbide(炭酸カルシウム)”シリーズと、着々とユーザーのニーズに合わせた製品を市場に投入している。
今回紹介する「550D」は、フラグシップを集めた“Obsidian”シリーズの中でも下位モデルに相当するものであり、とくに静音性に主眼を置かれている製品だ。市場売価も1万6000円前後と比較的安価なのも魅力だ。
静音性を追求のため吸音材を多用!
550Dは同社初のフロントパネルを装着したミドルタワーケースだ。ヘアライン処理されたアルミ製のフロントパネルは左右どちらにでも開くことが可能となっており、取り外してしまうこともできる。フロントパネルの内側には吸音材を装着しており、パネルを閉じることにより静音性が高くなるようになっている。この吸音材は側面をぐるりと取り巻くように配置されており、左右のサイドパネルのほか、フロントファン部分にも装着されるという徹底ぶりだ。
静音のこだわりはこれだけではない。フロントと左サイドパネル、そしてトップにはワンタッチで取り外しが可能なカバーを用意。それぞれのカバーにも吸音材を取り付けている。ユーザーの環境に合わせて、自由にカバーの開閉設定ができるという点はポイントとして高い。
またこれは面白い!と思ったのがエアーの吸気口部分のギミックだ。吸気口部分にはダスト侵入防止用のメッシュが用意されているのであるが、メッシュ部分にマグネットを使用して本体に貼り付ける方式を採用しているため、簡単に取り外すことが可能だ。他のPCケースの場合、いざエアフローを改善するために掃除しようとすると、パネルやネジを外すといった作業が必要なものも多いが、これをマグネットを代用することによりクリーニング時の作業の煩雑さが極力ないようにしている。何気ない改善ではあるが、ユーザー視点を持ってよく考えた出したといえるだろう。
フロントアクセスユニットは電源/リセットボタンのほかにアナログ音声入出力×各1のほか、USB 3.0×2という標準的な構成で、電源/リセットボタンはクリック感があるものを採用している。
サイドパネルはボタンワンプッシュでロックを解除可能のため、いざ拡張しようとする際には楽なはずだ。