このページの本文へ

サムスン開発の高機能タッチパネルで複数ユーザーの操作に対応

対面販売を変える?Surface 2採用のテーブル型PC上陸

2012年03月02日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

3月1日、日本サムスンはマイクロソフトの「Surface 2」を採用したテーブル型PC「サムスン SUR 40 for Microsoft Surface 2.0(以下、Samsung SUR 40)」を発表した。高機能タッチパネル採用のハードウェアで、いよいよ日本市場にも投入される。

最大52点の多点認識で複数ユーザーの操作も可能

 Samsung SUR 40は、テーブルの表面が40型タッチパネル液晶となっているPC。ソフトウェアやハードウェアのプラットフォームとして、マイクロソフトの「Surface 2」を採用し、複数のユーザーがタッチやジェスチャーを使って情報共有やコンテンツをやりとりできる。

 Surface 2の前身となるSurface 1は、2008年にDLPプロジェクター方式のハードウェアとソフトウェアを一体化した形で販売されたが、日本では導入が見送られていた。今回発表されたSamsung SUR 40はマイクロソフトのSurfece 2を搭載したハードウェアをサムスンが開発し、今夏日本市場に投入する。

タッチやジェスチャーでコンテンツをやりとりするテーブル型PC「Samsung SUR 40」

第1世代のSurface 1ではマイクロソフトが提供。Surface 2ではハードウェアをサムスンが開発

 日本サムスン DMA事業部の宮田隆氏は、Samsung SUR 40の特徴として、最大の52点という多点を認識する「PixelSense」という独自のタッチパネル技術を挙げた。液晶の8画素に1つの割合でセンサーが埋め込まれており、バックライト背面から照射された赤外線の反射光を検知し、指や手、オブジェクトを認識。PCに伝達された画像イメージを元に、Surfaceのソフトウェアでシステム制御を行なうという。

日本サムスン DMA事業部の宮田隆氏

 「バックライト用のLED発光素子がタッチパネル用の赤外線発光素子としての役割も果たす」(宮田氏)とのことで、Surface 1のように物理カメラを搭載することなく、同時に複数人が操作しても、正確な検知を行なえる。また、スマートフォンにも採用されているコーニング社製のGorilla Glassをスクリーン最表面に採用し、高い強度を実現したという。

最大の特徴となるPixelSenseの技術

 こうした高度なタッチパネルにより、つかむ、つまむ、回すといったユーザーの自然なふるまいで、オブジェクトを操作できるNUI(Natural User Interface)を可能にした。さらに特殊なドットパターンであるタグを認識することができるため、特定の物体の設置に対し、異なる反応や動作を設定するようアプリケーションを設計することが可能だ。

 PCとしてのスペックは、CPUにデュアルコアのAMD Athlon II X2、グラフィックにAMD Radeon HD 6570Mを採用。メモリは4GB、HDDは320GBとなっている。USBポート×4のほか、IEEE802.11nやBluetooth、有線LANなどのインターフェイスを搭載し、周辺機器やスマートフォンなどとの連携が可能になっている。

対面販売で効果を発揮する新ツール

 用途としては、タッチパネル型のデジタルサイネージや企画・開発、コンサルティング、ゲームや娯楽などが想定されているが、特に顧客との対面販売やショッピングなどのツールとして期待できるという。

Samsung SUR 40の想定される用途

 とはいえ、実際の導入はアプリケーションの開発が鍵と捉えており、今回はセカンドファクトリー、パイオニアソリューションズ、電通国際情報サービス、エヌジーシーなどがパートナーとして発表された。宮田氏は、「エンドユーザーさんだけではなく、販売代理店さんがきちんとメリットを得られるエコシステムを作っていきたい」と説明した。

 日本で投入されなかったSurface 1だが、現在グローバルでは100社以上のパートナーがアプリケーションを開発しているとのこと。パートナーとして登壇したセカンドファクトリー デザイン&デベロップメント事業本部 コーポレートマネージャー 有馬正人氏は、京都市内の観光地をプランニングするSuraface用アプリケーションを披露した。

セカンドファクトリー デザイン&デベロップメント事業本部 コーポレートマネージャー有馬正人氏

 「本来楽しいはずの旅行のプランニングは事務処理っぽくなりがち。これをよりイノベイティブにしようと考えた」(有馬氏)というコンセプトで、観光地の写真と説明を1つのオブジェクトとして配置し、これらを円形のタイムラインに貼り付けるという操作を実現した。作成したプランはIDカードをかざすことで、収納できる。また、五重塔の置物の背面にバーコードを貼り付け、この置物を画面に設置することで、センシングされ、アプリケーションを起動させていた。こうしたタグ認識の機能は、Samsung SUR 40の大きな魅力といえる。

外部ディスプレイに出力されたSurface 2の旅行プランニングのアプリケーション

五重塔の置物の背面にあるバーコードを読み込んで京都用のアプリが起動する

 有馬氏は、「基本的にはWPF(Windows Presentation Foundation)やXMLをベースにしており、Visual Studioでの開発はきわめて容易。マイクロソフトからSDKも提供されている」とのことで、開発のしやすさが大きなメリットだと述べた。ホテルのロビーで周りの観光地やレストランを紹介するコンシェルジュツールとして使ったり、ファイナンシャルプランナーの資金計画シミュレーションなど対面式のサービスで特に効果を発揮すると高い期待を示した。

 Samsung SUR 40の価格はオープンで、テーブルのスタンドはオプションとなる。初年度の販売台数は300台と控えめだが、宮田氏は「これから作り上げていく新しい市場だが、数年後には数千台の規模を目指せるのではないか」と抱負を述べた。

■関連サイト

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ