UQコミュニケーションズは都内でメディア向け説明会を開催。その中で、東京都との協力で都営地下鉄車内のWiMAXエリア化を含む、同社の事業戦略について紹介した。
WiMAX対応スマートフォンのリリースもあり
好調な状態がつづくUQコミュニケーションズ
まず、UQコミュニケーションズ 代表取締役社長の野坂章雄氏は、2011年10月度の加入者純増数でソフトバンク、KDDIに続く、3位を記録したことを発表。WiMAX対応スマートフォンの発売に加え、iPhone 4SのリリースでドコモからのMNP流出が発生するなどの状況があるとはいえ、当面のライバルであるイー・モバイルには差をつけている好調ぶりだ。
2011年10月時点での契約数は133万。2011年度末の目標である200万契約に向けて、今回新デバイスや新サービスが発表された。
まずは、家庭内での利用を前提とした据え置きルーター型の「URoad-Home」(シンセイコーポレーション製)。これまでの据え置き型と比較しても、WiMAXの受信感度/無線LANの出力を向上したほか、有線LANポートを2つ搭載、さらに壁掛けにも対応するなど、FTTHやADSL回線代わりとしての利用を強く意識した製品だ。
新サービスでは、2回線同時に使える新サービス「ファミ得パック」がある。これまでも同社の「UQ WiMAX」では3台までのWiMAX対応機器を1契約で利用できたが、同時にインターネットに接続できるのは1台だけ。これに対し、ファミ得パックは2回線を同時に使えるものだ。1年契約を前提にした「UQ Flat(年間パスポート)」は月3880円だが、2回線でも6360円と1回線あたり700円お得になる計算である。
ホームの端から電波を飛ばし
地下鉄車内でもWiMAXが使えるようにする
また基地局の密度アップによる既存エリア内の速度向上や、すでに発表済の上り最大15.4Mbpsへの高速化(従来は10Mbps)なども紹介されたが、大きな話題は地下鉄のエリア化。
東京都交通局との協力により、まずは都営三田線大手町駅で12月末にエリア化を開始、さらに2012年内には順次都営線全区間に拡大する。このエリア化は単にホームでもWiMAXのサービスが利用できるだけではなく、WiMAXが用いている2.5GHz帯の電波の特性を利用し(直進性が強い)、ホームの端からトンネル方向に電波を飛ばすことで、駅間での車内も含めてエリア化を進めようというものだ。
ただ都営地下鉄には、大江戸線のように非常にカーブが多い路線も存在する。それらの路線の車内でも使えるのか? という質問が出たが、あくまでホームの端から電波を飛ばしているため、常に満遍なく利用できるというわけではなさそうだ。
ただ、UQコミュニケーションズとしては可能なことから先にやっていく考えのようで、交渉や作業に手続きがかかるトンネル内でのリピーター設置にこだわるのではなく、同社の身の軽さを活かして、スピーディーにエリアを拡大していく方針に感じた。また都営地下鉄以外も東京メトロや大阪市営地下鉄ともすでに協議中とのことで、今後の展開に期待したいところだ。