日本に住んでいる限り、日本で買うIT製品は、日本のメーカーによる日本語のパッケージの製品だったり、代理店の製品なら英語のパッケージに日本語の説明書が添付されていたりと、当たり前のことだがユーザーへのサポートはしっかりしないと「モノを売るレベル」とは言い難い。秋葉原の輸入製品などはあるがそれは例外として。
お隣中国はというと、筆者自身いろいろな中国IT製品を購入した経験でいえば、中国語で書かれた箱もあれば説明書もある。説明書は内輪だけが理解できるような独りよがり感あふれる内容のものはよく見るが、それにしても中国人のためのパッケージとなっている。
しかし、その中国のさらに隣国になると、モノが作れないことから、自国の言語が書かれたパッケージや説明書が本体に添付されることは少なくなる。人口が1000万人に満たない国では、世界的に有名なNokiaですら支社がない場合もある。
そういう視点で見れば、日本人が当たり前に思っている母国のメーカーが母国語のパッケージをリリースする環境は例外的な環境であり、実は日本人は世界的に見てかなり恵まれている環境に置かれているのである。
筆者自身、中国に隣り合う国のうち、モンゴル、キルギス、インド、ネパール、ミャンマー、ラオス、ベトナムに行った。いずれの地域でも携帯電話は必須アイテムで、PCもあればベターという環境になっている。
そんな各国だが、インドを除いてIT製品はPCパーツにしろ携帯電話にしろ、安価な中国製品に依存しているように見えた。パソコンパーツは簡体字中国語が書かれた中国向けパッケージのままで売られ、携帯電話はノンブランドケータイこと「山寨機」が説明書も箱もないまま売られている(中国では山寨機ですらも安っぽいながらも箱説明書有りで売られるケースが多い)。日本の製品やiPhoneも売られてはいるが、その土地の金持ちしか手の届く存在ではない。
中国語がわかる地元の人は華僑系か中国人観光客を相手にする旅行業者くらいしかおらず、普通の人は試行錯誤しながら購入した輸入品を使おうとするわけだ。
本体だけ入手できればいい消費者に向けて、ニセブランドも多く輸出されている。メーカー名を勝手に名乗ったニセモノはあるがそれだけではない。
例えば絶滅した次世代光ディスク規格「EVD」のロゴがついた、一見上位機種そうなDVDプレーヤー製品を中国の隣国で実によく見かける。税関が国境で抜き打ちでガサ入れを強化することがニュースでしばしば報じられるが、そうしたニュースでは毎度莫大な数のニセモノが押収されている。
中国人は商売人気質と言われるが、それは職人気質の日本人との比較だけではなく、その他のアジアの国々から見てもそうだ。華僑は商売上手で母国から次から次へと商品を運んできては、おらが国に中国製品を地元で販売する。
中国製品をメインに売るが、iPhoneやプレイステーション・ポータブルなどの日本のゲーム機も、日欧米から輸入して国境の先の街々に輸出する。だいたい中国との国境からそう遠くない街には中国人が多く住み、彼らは右から左へモノを流していった結果、その土地で中国人だけが中国人の生活環境を変えないようにしながら現地では優雅な生活をしている。
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