1回目では、低消費電力CPUと内蔵ビデオ機能を用いたスタンダードな構成のMini-ITXを紹介した。今回はスペックをアップし、HD動画のエンコードや3Dゲームにも耐えうる性能を追求するべく、第1回で作成したスタンダード構成からチューンナップを図っていくことにする。
エンコードマシンのために
まずはCPUを強化!
エンコードの要はなんといってもCPUパワーである。そこで、スタンダード構成のCPU「Core i5-2500S(4コア、2.5GHz)」を「Core i7-2600K(4コア、3.4GHz)」に交換しパワーアップする。CPUクロックは約1.36倍だが、Hyper-Threadingによる8スレッド動作とキャッシュ容量増加を考慮すれば、動作クロック数をはるかに超えるパフォーマンスアップが期待できるハズだ。ただ、価格の方も約1万5500円(Core i5-2500S)から約2万4500円(Core i7-2600K)と、9000円もアップした形となった。
実際にどのくらい速度が出るのか!?
エンコード速度を計測
CPUパワーアップでエンコード速度がどれくらい変わるのかを計測する。エンコードソフトはペガシスの「TMPGEnc Video Mastering Works 5」を用い、ビットレート約18Mbps、長さ4分のフルHD(1920×1080ドット)MPEG2動画を、フルHD解像度のままx.264エンコーダで変換するのに要した時間を計測した。エンコード設定はVBR固定品質で、クオリティ設定は50である。
実際にエンコードするまえにスタンダード構成をもう一度記載しておく。変更するのはCPUのみで、それ以外はすべて同一スペックのまま使う。
スタンダードなMini-ITX構成 | ||
---|---|---|
CPU | Intel「Core i5-2400S」 | 約1万5500円 |
マザーボード | ASRock「Z68M-ITX/HT」 | 約1万1000円 |
メモリー | DDR3-1333 4GB×2枚セット(バルク) | 約3000円 |
ストレージ | HGST「0S02600」(500GB) | 約3500円 |
PCケース | シルバーストーン「SST-SG06B450」 | 約1万9000円 |
合計金額 | 約5万2000円 |
Mini-ITXでもエンコードは十分に可能!
スタンダード構成のCore i5-2400SからCore i7-2600Kにした効果は、エンコード時間が約半分近くまで短縮された。動作クロック数をはるかに超える結果になったのは、Hyper-Threadingによる8スレッド動作がかなり貢献したと推測される。
CPU変更でTDPが30Wアップし95Wになったが、ビデオカードがない構成なので電源容量は300W程度あれば十分である。CPUの排熱さえ注意すれば、Mini-ITXのエンコードマシンは比較的楽に自作できる部類と言える。
お詫びと訂正:掲載当初、エンコードテストのグラフに誤りがございました。該当部分を訂正するとともにお詫び申し上げます。(2011年10月4日)
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