9月5日、日本マイクロソフトとダイワボウ情報システム(DIS)は、スレートPC(Windows 7をベースのタブレット)の拡販で協業すると発表した。中堅中小企業や教育市場のICT利活用を推進する。
DISは10月1日から社内に「Windowsスレート推進センター」を設立。マイクロソフトのエンジニア、DISのコンサルタントやパートナーSI業者などが常駐する。スレートPCに関する専用の問い合わせ窓口を用意するほか、ビジネス向け市場での事例の蓄積と新規案件の掘り起こし、セミナー開催やパートナー企業への啓蒙活動などを実施していく。
DISは昨年度国内PC市場の12%にあたる約180万2000台のパソコンを取り扱ったが、その中でWindows PCの占める割合は96%。タブレット市場でもWindowsを使いたいという需要は、潜在的に高く。3年後には国内ビジネススレート市場全体で年間176万台の販売が見込めるとする。発表会でDISは、スレートPC販売では同社のパソコン販売におけるシェアを上回る成果を上げ、今後3年間で70万台のスレートPCを販売したいとした。
取り扱うスレートPCは限定しないが、現段階ではASUS、オンキヨー、東芝、日本エイサー、NEC、パナソニック、富士通、マウスコンピューターといった国内の主要PCメーカーから賛同を得ている。
DISは全国87ヵ所に営業拠点、14ヵ所の物流センター、1万7000社のパートナー企業を持つ、PC卸事業の大手。仕入れ先は870社、取り扱いアイテム180万点以上、常時3万アイテムの在庫を持つとする。2010年度は上述した180万2000台のPC出荷に加え、7万6000台のサーバーを出荷。取引売上高は3882億円を計上した。
日本マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏は以下のように話す。
「市場は黎明期で、ハードとソフトを1社で提供できるアップルが先行しているが、今後はパートナーシップを通じた広がりのある製品開発が必要になってくるだろう。情報システム部門の人から、管理するならWindowsデバイス。それ以外を試したがうまくいかなかったという声も聞くようになった」
スレートPCの市場はまだまだ小さいが、パソコン販売の最大手と協業することで、潜在的な市場を掘り起こしていきたい考えだ。
DISとしても机の上で使うのが基本だったデスクトップやノートとは異なり、持ち運んで使えるというスレートのPCは新しい用途と市場を生むとみているようだ。
「(教育市場で考えると)ウェアラブルというか野外に持ち運べる。新しい使い方が出てくると思うので、そこにも力を入れたい」
また「エンドユーザーの目的によって結果としてiOSやAndroidが選ばれることもあると思うが、現時点でPCと言えば96%がWindows。その延長上で考えれば、そこが収益に結びつきやすいだろう。その後、iOSやAndroidならではの個性が出てくれば、(販売側が)意図的にこうしたいというのではなく、結果的にこうなるというのが見えてくるだろう」ともコメントした。