27日に対応チップセットが発表され、登場が期待されていたAMDのデスクトップ版Fusion APU「AMD A」シリーズが、30日にAMDから発表された。
既にモバイル向けのEシリーズやCシリーズ、ノートPC向けのAシリーズが発表されているが、デスクトップ向けとしてはAMD初のCPU/GPU統合プロセッサである。消費電力の制限を受けないデスクトップPC向けのAシリーズということで、その性能にも期待がかかる。そこで、今回は最上位モデル「AMD A8-3850」を使って“Llano”の性能をチェックしていきたい。
Phenom II相当のCPUコアと
Radeon HD 5600相当のGPUコアを
1つに統合したFusion APU
デスクトップ向けAシリーズは4コアのCPUコアとミドルレンジクラスのGPUコアを統合したFusion APUで、新たにAMDのデスクトッププロセッサのミドルレンジ帯をカバーする製品だ。内部構造は既に発表されているノートPC向けと大きな違いはないが、ノートPCに比べてTDPに余裕があるためCPUコア、GPUコアともクロックが大幅に向上しているのが特徴となる。
Aシリーズに搭載されているCPUコアは、Phenom II系のコア「STARS」を改良し、32nmプロセスにシュリンクしたものだ。L2キャッシュは各コア1MBずつとPhenom IIの倍になっている一方で、L3キャッシュは搭載されていない。なお、Phenom IIのTモデルに搭載されている、負荷によって動的にクロックを変更する機能「Turbo CORE」をサポートするモデルが今回も用意されている。
デスクトップ版AMD Aシリーズスペック | ||||
---|---|---|---|---|
モデルナンバー | A8-3850 | A8-3800 | A6-3650 | A6-3600 |
開発コード | Socket FM1 | |||
コア数 | 4 | |||
動作クロック | 2.9GHz | 2.4GHz | 2.6GHz | 2.4GHz |
TurboCore時クロック | - | 2.7GHz | - | 2.1GHz |
L2キャッシュ | 1MB×4 | |||
内蔵GPU | Radeon HD 6550D | Radeon HD 6530D | ||
TDP | 100W | 65W | 100W | 65W |
GPUコアには4基のRadeon Coreと1基のSpecial Function Radeon Coreを搭載した「Sumo」コアを採用。こちらはRadeon HD 5600シリーズの「Redwood」コアをベースにUVD3対応などの改良を加え、32nmプロセスにシュリンクした物と考えていいだろう。
上位版となるAMD A8シリーズのGPUコアはシェーダプロセッサ数400基、GPUクロックが600MHzのフルスペック版「Radeon HD 6550D」。ミドルレンジのAMD A6 シリーズはシェーダプロセッサ数320基、動作クロック443MHzに制限した「Radeon HD 6530D」が搭載されている。
AシリーズのGPUコアと競合製品の主なスペック | |||||
---|---|---|---|---|---|
AMD A8 (Radeon HD 6550D) |
AMD A6 (Radeon HD 6530D) |
Radeon HD 6670 | Radeon HD 6570 | Radeon HD 5670 | |
製造プロセス | 32nm | 40nm | |||
シェーダプロセッサ数 | 400 | 320 | 480 | 480 | 400 |
テクスチャユニット数 | 20 | 16 | 24 | 24 | 20 |
ROP数 | 8 | ||||
GPUクロック | 600MHz | 443MHz | 800MHz | 650MHz | 775MHz |
Universal Video Decoder | UVD3 | UVD3 | UVD3 | UVD3 | UVD2 |
また、これまでのGPU統合型チップセットと同じく「Dual Graphics」(いわばCrossFire)にも対応する。AシリーズではRadeon HD 6670/6570/6450と内蔵GPUを組み合わせることでグラフィック性能をさらに向上させられる。
そのほか、メモリコントローラは最大DDR3-1833のデュアルチャネルに対応し、最大4DIMMまでをサポート(ただしDIMMを4枚搭載する場合はDDR3-1600までの対応)。
組み合わされるチップセットは「AMD A75」と「AMD A55」の2種類が用意されており、PCI Express(x4)相当の専用バスUnified Media Interface(UMI)でFusion APUと接続される。チップセットの詳細については「AMD、新チップセット「AMD A75/A55」を発表」で詳しく触れているので併せて参照していただきたい。
ベンチマークテストにて「AMD A8-3850」の性能をチェック
ここからは実際にベンチマークで「AMD A8-3850」の性能をチェックしていく。今回は、比較対象としてIntel、AMDのそれぞれの統合GPU環境として「Intel Core i5-2500K」(3.3GHz)(以下2500K)と「Phenom II X4 965 BlackEdition(3.4GHz)」(以下965 BE)+「AMD 890GX」をそれぞれ用意した。テスト環境は以下の通りだ。
「Fusion APU」テスト環境 | |
---|---|
CPU | 「AMD A8-3850」(2.9GHz) |
マザーボード | GIGABYTE「GA-A75-UD4H」(AMD A75) |
メモリー | A-DATA「AD3U1333C4G9-2」(DDR3-1333 4GB×2) |
HDD | Seagate「Barracuda 7200.10 ST3500418AS」(500GB/SATA2) |
光学ドライブ | LITEON「DH-20A3S」 |
電源 | Corsair「CMPSU-750HXJP」(750W) |
OS | Windows 7 Ultimate SP1(64bit) |
「Core i5-2500K」テスト環境 | |
CPU | 「Core i5-2500K」(3.3GHz) |
マザーボード | ASRock「H67M-ITX」(Intel H67 Express) |
メモリー | A-DATA「AD3U1333C4G9-2」(DDR3-1333 4GB×2) |
HDD | Seagate「Barracuda 7200.10 ST3500418AS」(500GB/SATA2) |
光学ドライブ | LITEON「DH-20A3S」 |
電源 | Corsair「CMPSU-750HXJP」(750W) |
OS | Windows 7 Ultimate SP1(64bit) |
「Phenom II X4 965 BlackEdition + AMD 890GX」テスト環境 | |
CPU | 「Phenom II X4 965 Black Edition」(3.4GHz/125W版) |
マザーボード | ASRock「890GX Extreme 3」(AMD 890GX) |
メモリー | A-DATA「AD3U1333C4G9-2」(DDR3-1333 4GB×2) |
HDD | Seagate「Barracuda 7200.10 ST3500418AS」(500GB/SATA2) |
光学ドライブ | LITEON「DH-20A3S」 |
電源 | Corsair「CMPSU-750HXJP」(750W) |
OS | Windows 7 Ultimate SP1(64bit) |
(次ページへ続く)
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