シスコのInteropの展示は、NexusのようなデータセンタースイッチからCiusのようなスマートモバイルデバイスまで多岐に渡る。今回注目したいのは、IT機器のみならず、設備系まで含めた電力管理をネットワーク経由で実現する「Cisco EnergyWise」の取り組みだ。
IT機器だけではなく、ビル設備も電力管理
2009年に発表されたCisco EnergyWiseは、IT機器のみならず、空調や照明などのビル設備まで含めた電力管理を行なうソリューションである。今まで、IT機器系とビル設備系の電力管理はまったく別系統になっており、プロトコルや機器面においても互換性がなかった。これに対して、Cisco EnergyWiseはシスコが提供するAPIとプロトコルを用いて、ネットワーク経由で電力管理を実現できる。昨今は、東日本大震災以降の電力管理の需要とあわせて注目度も高くなっている。
これまでは同社のネットワーク機器がメインだったが、積極的にソリューションパートナーを拡充した結果、国内でも数社がEnergyWiseのプログラムに参画している。6月にはジューレックスの「JouleX Energy Manager (JEM)」、ユビテック「Ubiteq Green Service (UGS)」、住友電設「eBuilding Management System(eBMS)」などのビル管理のソフトウェアやサービスがEnergyWiseに対応したことが発表され、さっそくInteropでお披露目されている。会場では「APIベースなのでドライバを開発するだけで、EnergyWyseによるIT機器の管理に対応できるようになった」(住友電設 説明員)という説明を受けた。また、EnergyWyseに対応しないデバイスでも管理ができるよう、電力管理が可能なインテリジェントタップ(PDU)も披露されていた。
ThinkPadもEnergyWiseをサポート
そして最近EnergyWiseのパートナーに加わったのが、ご存じレノボである。これにより、ネットワーク機器だけではなく、デスクトップPC・ノートPCも電力管理の対象となるわけだ。EnergyWiseは当初からエンドデバイスの電力制御を目的としてきたため、PC製品を持たないシスコにとってみて、グローバルで高いシェアを持つレノボの参加は非常に大きな意味を持つ。会場では、EnergyWise対応の「Lenovo省電力マネージャー」を搭載したThinkPadが参考出展されていた。
電力の効率的な管理を行なうためには、企業や業界の垣根を越えたパートナーシップが重要になってくる。今後の電力管理の需要に応えるべく、こうした提携は加速していくに違いない。