一番速い新世代ウェブブラウザーはどれだ!?
本特集では3回に分けて、Firefox 4.0、Chrome 11β、そしてIE9の特徴や改良点について解説してきた。特集の最後では、これら3つの新世代ウェブブラウザーのどれが一番速いのか、JavaScriptやHTML5のベンチマークテストにより計測してみた※1。
※1 テスト環境は、Core i5-660(3.33GHz)、Intel Q57チップセット、CPU内蔵GPU使用、メモリー4GB、HDD 500GB。
まずはHTML5のグラフィック関連テストのために、マイクロソフトのテストサイト「IE TestDrive」にある、「FishBowl Benchmark」と「Speed Reading」、「Preschool」の3つのデモをベンチマークテストとして利用した。
FishBowl Benchmark
FishBowl BenchmarkはHTML5のグラフィックに関するベンチマークデモである。HTML5のグラフィック描画にGPUを利用するIE9は、表示する魚を500匹まで増やしても、20fpsで表示できる。一方、Firefox 4.0とChrome 11βは1桁前半で、IE9に比べると10分の1程度の性能しかでない。またFirefox 4.0ではCSS3の解釈に不具合でもあるのか、本来青色の金魚鉢の色が、なぜか赤になっていた。
ちなみに、IE9でもGPUアクセラレーションをオフにすると3fpsと、競合と変わらない性能まで落ちる。GPUアクセラレーションに対応していると、これだけ性能が違うものかと驚かずにいられない。
Speed Reading
Speed ReadingはHTML5のテキスト表示と、グラフィック表示を測るベンチマークデモである。ここでも、IE9のGPUアクセラレーションの凄みが感じられた。
GPUアクセラレーションが効いたIE9ではわずか9秒。GPUアクセラレーションなしでは1353秒もかかるので、約151倍もの性能向上を果たしている。これほど顕著にGPUアクセラレーションが性能向上に寄与しているテストは他にない。DirectXのテキスト表示システム「DirectWrite」によるものと思われる。
ただしFirefox 4.0は744秒で、Chrome 11βは898秒。いずれもIE9のGPUアクセラレーションなしに比べると、50%ほど速い。IE9のGPUアクセラレーションなしが遅すぎるのかもしれない。Firefox 4.0は一部でDirectWriteを使用しているはずだが、IE9ほどサポートは充実していないし、性能もそれほど引き出せていないようだ。
PreSchool
PreschoolもHTML5のベンチマークデモである。「ABC」の歌に合わせてグラフィックが表示される。このベンチマークでもIE9が最も速い。ほかのウェブブラウザーは10秒台だが、IE9のGPUアクセラレーションありは約4.8秒と、非常に速い結果である。IE9のGPUアクセラレーションなしでも、約6秒と健闘している。