2011年3月、マイクロソフトの「Internet Explorer 9」(以下IE9)を皮切りに、「Firefox 4.0」と「Google Chrome 10」の3大ウェブブラウザーが、一斉にリリースされた。
今回から始まる小特集では、Firefox 4.0、Chrome 10、IE9の順に、これら最新ウェブブラウザーの新機能や特徴について解説する。なお既報のとおり、IE9の日本語版は4月26日に公開予定となっている。そのためIE9のみ、後日の掲載となることをお断わりしておきたい。
HTML5対応とハードウェアアクセラレーションが
2011年版新世代ウェブブラウザーの特徴
新世代ウェブブラウザー第1の特徴は、最新のHTML規格「HTML5」への対応にある。むしろこれらの新世代ウェブブラウザーは、HTML5をサポートするために誕生したと言っても過言ではない。
HTML5は従来のHTML4から、大幅に機能が強化されている。例えばレイアウトを表現する「CSS」は「CSS 3.0」になり、より厳密にレイアウトが記述できるようになった。今まではウェブブラウザー上でビデオを再生する場合は、FlashやSilverlightなどのプラグインが必要だったが、HTML5では追加コンポーネント不要でビデオ再生ができるようになっている。
またHTML5では、ベクターグラフィックを記述する「SVG」、図やグラフなどのグラフィックが記述できる「Canvas」といった機能も追加されている。こうした機能が追加されたことで、「HTML5世代のウェブブラウザーが普及すれば、FlashやSilverlightが必要なくなる」とさえ言われている。
新世代ウェブブラウザーのもうひとつの特徴が、「GPUとマルチコアCPUの活用」だ。HTML5対応によって、ウェブブラウザーのグラフィック機能は大幅に強化された。しかし、高度なグラフィックス機能をすべてCPUで処理していては、無駄にCPUを使ってシステム全体に負荷をかけることになる。
そこで新世代ウェブブラウザーでは、GPUを積極的に利用することになった。GPUに任せられる機能はGPUに任せて、CPUはできるだけ楽をするという考え方だ。これにより、ウェブブラウザー上での文字表示やグラフィック表示の性能が大幅に向上している。
さらに最近のCPUは、マルチコアCPUが当たり前になっている。ウェブブラウザーはマルチコアCPUを前提に処理を並列化することで、性能向上を実現した。特にJavaScriptの動作に関しては、マルチコアでの処理で数倍の性能向上を実現したという。JavaScriptが高速化されれば、「Googleマップ」のようなインタラクティブなウェブページがより軽快に動作するので、快適さがさらに向上するだろう。
前置きが長くなったが、それではFirefox 4.0の解説に入ろう。