消費電力枠に収めるために性能はやや制限?
Radeon HD 6990を予想する
ここからは今後の動向である。まずトップエンドとして、CaymanコアをCrossFire構成としたコード名「Antilles」が、「Radeon HD 6990」として、2011年第1四半期に投入されることがすでに発表されている。
問題は構成のほうで、300Wというカード上の消費電力枠に収めようとすると、Radeon HD 6970をそのまま使うというわけにはいかない。公称値では、Radeon HD 6950の消費電力が140W、Radeon HD 6970で190Wだが、これはどちらも「Typical Gaming Power」(一般的なゲーム時の消費電力)ということになっており、ピークの消費電力はもう少し上がると考えられるからだ。
2基のGPUに加えて、カード上にPCI Expressのスイッチを搭載する必要もある。スイッチ分も加味すると、Radeon HD 6950×2の構成でも消費電力枠に収まらず、もう少し消費電力を落とさないと、ピーク時で300W以内に収めきれないと思われる。
ロードマップ図に示したスペックはあくまで筆者推定であるが、おそらくこの程度まで落とさないと、300Wの枠内に収めるのは難しいように思える。またRadeon HD 6950のCrossFire構成でも、CrossFireが効果的なアプリケーションの場合はGeForce GTX 580を軽くぶっちぎれる性能を出せるだけに、Radeon HD 6990はわりと控えめな構成になると思われる。
なお、2011年1月にAMDは、「Radeon HD 6770/6750」をラインナップに加えている。商品ページにはっきりと、「Based on the same hardware as the ATI Radeon HD 5700 Series」と書かれていることからもわかるとおり、これはJuniperコアのRadeon HD 5770/5750そのままの製品で、OEM向けに6000番台の型番を付け直しただけだ。
厳密に言えば、Radeon HD 5770/5750の映像出力が「HDMI 1.3」までの対応なのに対して、Radeon HD 6770/6750では「HDMI 1.4a」対応になっているから、若干の改良は施されている。だが違いはそれだけなので、ほぼ同等のものと考えていい。逆に言えば、Northern Islands世代では6700シリーズに相当するスペックの製品を出さない、と考えてもいいだろう。
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