このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

ソフトウェアからハードウェアまであますことなく見せてもらった

3000万円からのクラウド箱「IBM CloudBurst」を解剖する

2010年11月18日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 
写真●曽根田 元

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

プロビジョニングの様子を見てみよう

 では、システム製品事業 システムx事業部 テクニカル・セールス ITスペシャリストの後藤有希子氏によるデモを元に、IBM CloudBurstのプロビジョニングの様子を見てみよう。

システム製品事業 システムx事業部 テクニカル・セールス ITスペシャリストの後藤 有希子氏

 まずIBM CloudBurstの管理者は、リソースを利用するユーザーやグループをあらかじめ登録しておく。次にリソースを使いたいユーザーがWebブラウザ上から新規の利用申請を行ない、管理者から承認を受けると、リクエストのスケジュールに合わせてプロビジョニングが実行される。対象とするハイパーバイザーは、VMwareやIBM PowerVM、KVM、Xenなどで、約15~20分くらいでゲストVMの作成が行なわれるという。プロビジョニングが完了するとメールが届くので、あとはユーザーがリモートアクセスして利用すればよい。利用期間中はリソース追加やバックアップ登録が可能なほか、最新版ではソフトウェアの追加導入も行なえる。そして、利用期間が終了したら、リソースが解放されるという流れだ。

IBM CloudBurstにおけるプロビジョニングの様子

 実際にデモを見てみると、利用申請などはシンプル。申請画面も1画面で済む。プロジェクト名を入力し、利用ユーザーグループを選択し、利用期間を設定。あとは必要なリソースを選択すればよい。「利用するサーバーイメージは管理者が事前にVMテンプレートを登録しているので、ユーザーはその中から使用するイメージを選択するだけで済みます」(後藤氏)という。これがまさに標準化&自動化の恩恵といえる。

登録後、ユーザーとしてログインすることで、申請が行なえる

VMwareサーバーでのプロジェクト作成を選択する

申請画面ではまずプロジェクト名を入力し、利用ユーザーグループを選択。あとは利用期間を設定する

サーバーはテンプレートから選択するほか、詳細なリソースも選べる

 また、「申請のステータスやプロジェクトの状態も一元的に管理できます」(後藤氏)ということで、ワークフロー管理も行き届いている。自動承認のほかに既存の承認ワークフローのカスタマイズも行なえる。

プロビジョニング作業が終了するとメールで通知が行なわれる

申請状態やプロジェクトについてはWebのGUI画面からも確認できる

ハードウェア構成を写真でチェックする

日本IBM社内に設置された「IBM CloudBurst」

 さて、IBM CloudBurstの特徴の1つは、ソフトウェアだけではなくハードウェアとセットで提供されるという点だ。サーバーは6コアのXeon 5660を2基、72GBメモリを搭載した「HS22V」ブレードを「IBM BladeCenter H」に組み込んで構成し、ストレージとして「IBM System Storage DS3400」+「EXP3000ストレージ拡張ユニット」を採用。これらを8GbpsのFC(Fibre Channel)で接続し、ボトルネックを廃した。実際のハードウェアも日本IBM社内で見せてもらった。

 小規模、中規模、大規模とあらかじめ3つの基本構成が用意されており、日本IBM社内に設置されているのは1台のクラウド管理ブレード、3台の仮想統合ブレード、7.2TBのストレージから構成された小規模構成。クラウド管理ブレードには前述した4つの仮想ソフトウェアイメージが導入されている。もちろん、あとからブレードは増やすことができるので、拡張性も十分に確保している。

6コアのXeon 5660台を載せたIBM BladeCenter Hを搭載

ストレージとサーバーはFCで接続され、高いパフォーマンスを実現

 こうしたIBM CloudBurstやTivSAMによるクラウド構築について鈴木氏は、「単に仮想化でサーバーを統合するだけではなく、標準化や自動化まで見据えています。これにより、コスト削減の実現だけではなく、ユーザーの利便性まで向上させます」と語る。確かにデモを見てみると、エンドユーザーにとっても使いやすく仕上がっており、クラウドのメリットを体感できる。一方で、三菱総研DCSのようにパブリッククラウド用の機材として使っているユーザーもいるという。製品の魅力は徐々に先進的なユーザーに訴求しているようだ。

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード