日本ヒューレット・パッカード(以下HP)が発売した「HP MediaSmart Server EX490」(以下EX490)は、マイクロソフトのホームサーバーOS「Windows Home Server」を搭載したホームサーバーだ。
実際にはHPは、米国でWHSが登場した2007年からWHS専用機を販売していたが、日本国内でのコンシューマー向け販売はEX490が初めてだ。WHS専用機はHP以外に、Acerの「Aspire easyStore」やASUSTeKの「TS mini」など、いくつかが台湾メーカーからリリースされている。遅れて登場した形になるEX490は後発だけあって、一般的なWHS専用機とは異なるHP独自の機能が満載だ。
EX490の独自機能は多彩だ。MacのバックアップシステムのTime Machineへの対応やiTunesサーバー機能など、Windowsパソコンだけでなく、MacやiPhone/iPodなどとの連携機能が用意されている。またこれら以外にも、WHSの機能を強化するアプリケーションがHPの手で作り込まれている。これらについては後で触れるとして、まずは本体について見ていこう。
EX490のハードウェアをチェック
EX490は小型筐体のWHS専用機であり、本体にはディスプレー出力がなく、キーボードやマウスも付属しない。電源を入れれば、家庭内LANにつながったほかのWindowsパソコンから、簡単に管理できるようになっている。このあたりは、他社のWHS専用機と変わらない。
ハードウェアのスペックの詳細に関しては、最終ページのスペック表を参照していただくとして、特に注目するのはCPUだ。多くのWHS専用機は、コストと省電力性などを求めてAtomを使用している例がほとんどだ。しかしEX490では、あえてCeleron 450(2.20GHz)を採用している。Celeron 450はシングルコアCPUだが、WHSを動かすには十分なパフォーマンスを持っている。
Atom D510などのデュアルコアCPUを採用したWHS専用機と比べると、「コア数が少ない分パフォーマンス不足では」と思う人もいるかもしれない。だがCore 2 Duo系のCeleron 450は、ホームサーバー用としては高い性能を持っている。単なるファイルサーバーやメディアサーバーとして利用するには、必要以上のパフォーマンスと言ってもいい。その高いパフォーマンスをEX490は、HP独自のアプリケーションを動かすことに使っている。
メモリーは2GBを搭載する(増設不可)。WHSはWindows 2003 Serverの32bit版をベースにしている。そのためサーバーOSといえども、2GBでも十分なメモリー容量だ。
HDDは本体に4台まで内蔵できる。標準で1TB HDDが1台インストールされていて、OSやアプリケーションなどはここにインストールされている。
HDDのドライブベイは、ユーザーが簡単にアクセスできるようになっている。メッシュ状のフロントパネルを開くと、ハードドライブベイが4つ並んでいる。HDDを増設する場合は、ケースを引き出して中に3.5インチSATA HDDをはめ込むだけ。感心したのは、ケースにHDDをはめ込むときに、ネジやドライバーは必要ないこと。ケースに付属している、HDD固定用のピンを差し込むだけでいい。
ドライブケースはプラスチックでできているが、それなりの強度があるため、HDDを差し込むときに歪んでしまうこともない。また、ケースを覆う前面カバー部分は、冷却のエアフローを考えて、穴が開いたメッシュ状のアルミパネルが採用されている。
ちなみにHPで販売しているEX490では、内蔵HDDは1台だけ。例えば最初から4台内蔵した構成で注文する、といったことは今のところできない。ユーザーはHDDを追加したくなったら、必要な分だけ自分でインストールすることになる(使用できるHDDはSATAのみ)。
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