前回はPCとしてのパフォーマンスや冷却性能、消費電力などについてチェックした。その結果から個々の製品の個性が見えてきたが、省スペースをうたうからには、フットプリントの小ささはやはり重要。今回はこの点を中心にチェックする。
また、メンテナンス性に関しても検証した。省スペースPCはコンパクトな筐体に多数のモジュールが組み込まれているため、どうしてもタワー型筺体と比べて内部に余裕がない。これはメンテナンスのしにくさにつながる。
省スペースPCのフットプリントをチェック
ミドルタワーPCの場合、そもそもフットプリントが大きい上に高さもあるため、机上に設置するのは現実的ではない。一方、省スペースPCならフットプリントが小さいため、作業スペースを確保しつつ机上に置けるのがメリットだ。
では、今回取り上げた各々の省スペースPCにおいて、フットプリントはどの程度変わるのだろうか。フットプリントがもっとも小さくなる縦置き時において、個々の製品の底面の面積を比較してみた。その値がもっとも小さい製品から紹介していこう。
デル「780 USFF」
780 USFFの幅は65mmとちょっと厚めの辞書並みといったところ。そして奥行きはA4書類の短辺と26mmしか変わらない(236mm)ため、書類棚や本棚によっては納めてしまうこともできるだろう。
また、専用の液晶ディスプレーとの組み合わせると、ディスプレーの背面に780 USFF本体を取り付けられる。つまり一体型PCのように使うことが可能なわけだ。この専用ディスプレーは19型でプラス3万4650円、22型ワイドならプラス3万7800円で導入できる。なお、19型専用ディスプレーに取り付けて実測したところ、奥行きは245mmとなった。
HP「6005 Pro」
6005 Proの幅は66mmで、65mmの780 USFFとほぼ同等。高さも12mmしか変わらず、省スペース性という観点ではほぼ同等と言えるだろう。ただし、電源は外付けのACアダプターとなるため、設置性では一歩譲る。とはいえ、ACアダプターにすることで電源の不具合の切り分けなどがしやすくなるという利点もある。
なお、6005 Proの特徴として専用スタンドを組み合わせることにより、汎用的な液晶ディスプレーの背面に取り付けて利用できることが挙げられる。780 USFFでは専用ディスプレーとの組み合わせが前提となるため、たとえば現在使っている液晶ディスプレーに取り付けるといったことはできない。しかし6005 Proと専用スタンドの組み合わせでは、VESAマウントが用意されている液晶ディスプレーなら、機種を問わずに利用できるといった違いがある。
NEC「タイプME」
タイプMEは、奥行きが327mmと狭いのがメリット。机自体の奥行きが短い場合には、この数値が持つ意味は大きいだろう。ただ本体左側面に吸気口があるため、それを塞がないように設置する配慮が必要となる。
富士通「D530/A」
幅はタイプMEと1mmしか違いはないが、奥行きは338mmと227mmのタイプMEと比べると10mm程度大きい。D530/Aは、横置き時に13kg以下の液晶ディスプレーを設置することが可能という特徴を持つ。平均的な23型ワイドの液晶ディスプレーで6kg前後、24型ワイドでも8kg前後であり、一般的な液晶ディスプレーであれば本体の上に配置し、さらなる省スペース化を図れる。
訂正とお詫び:掲載時、一部スペックの記載内容に誤りがあったため修正しました。(7月5日)
エプソンダイレクト「AT980E」
AT980Eはフットプリントは大きめ。ただ高さを比べると、タイプMEやD530/Aより抑えられており、これをどう捉えるかが製品選定時のポイントになりそうだ。なお、左側面の手前側に吸気口があり、壁などに密着させないようにある程度の距離を確保する必要がある。
レノボ「M90z」
M90zは液晶ディスプレーとPC本体が一体化している分、当然のようにフットプリントの比較という点では不利になってしまった。
ただし、560mmという幅、そしてスタンドを含めた約220mm(筆者計測)という奥行きは、23型ワイド液晶ディスプレーの台座としては平均的なサイズである。いかに本体が省スペースでもディスプレーなしで使用することは通常あり得ないので(サーバーにするなど例外はあるが)、設置性には優れていると言える。
このようにひとくちに省スペースPCといっても、フットプリントには違いがある。導入に際しては、実際に設置した際に机上のスペースをどの程度必要とするのかについて、十分確認しておきたい。
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