HP Superdomeのすごさがかいま見えたプレゼン
発表会の後半では、HP BladeSystemなどを長らく担当してきたビジネスクリティカルシステム事業本部 製品マーケティング本部 製品企画部 プロダクトマネージャーの山中伸吾氏が、HP Integrityサーバーの詳細を解説。 アニメーションを多用した合計73枚にもおよぶスライド、実機のインスタント解体、実験のビデオ、デモンストレーションなどを踏まえ、まさに「山中劇場」ともいえる強力なプレゼンテーションで、特にHP Superdome 2の魅力をアピールした。
まず山中氏は「ItaniumプロセッサーとHP-UX」を、ミッションクリティカルシステムにおける最高・最強の組み合わせと強調。そのうえで、停滞気味のイメージに比して、Itaniumサーバーの出荷台数が年々増加している調査報告を示した。
また、気になるコストについても説明が行なわれた。フロントシステムにおいてスケールアウトで拡張を図るHP ProLiantに対して、HP Integrityシリーズはスケールアップで拡張を図るバックエンド向け。両者を適材適所で使うことが、トータルコストを抑えるコツになるという。
さらに同氏が披露したのが、ミッションクリティカル分野で、HP-UXの対抗馬として最近存在感を増しつつあるLinuxとの比較だ。「Linuxもコスト削減の免罪符ではない。Linuxにも『高いLinux』と『安いLinux』がある。もちろんLinuxカーネルのみであれば利用は無料に近いが、企業システムで使おうとするとパッケージ化や外部接続のサポート、長期保守、バグ修正などが必要になる。OSのトータルコストを開発やサポートにかかる人件費と考えると、ミッションクリティカル分野でのLinuxは、結局は商用UNIXに比べて高く付く場合が多い」(山中氏)と、エンタープライズでのLinuxを牽制した。
今回の第2世代HP Integrityシリーズでは、ライセンスをコア単位からソケット単位に改めたため、コストも大幅に低減されているという。さらにCPUの世代が上がっても同じバージョンのOSを使えるという長期利用のメリットもアピール。「Poulson」と呼ばれる次期ItaniumにおけるHP-UXのサポートも明言した。
ブレードアーキテクチャ全面採用で
HP Superdomeはこう変わった
今回の第2世代HP Integrityシリーズは、高い信頼性という従来のミッションクリティカル分野の要件に、仮想化・自動化といったクラウド系IAサーバーの技術を持ち込んだのが大きなテーマになる。これを実現するため、第2世代のHP Integrityシリーズでは、ブレードサーバーのアーキテクチャを大幅に採用した。
新製品の第一弾であるIntegrity BL860c i2/870c i2/890c i2の3機種は、Itaniumプロセッサー9300番台を搭載したブレードサーバー。2006年に発表された同社のブレードサーバー「HP BladeSystem C-Class」のエンクロージャに挿入し、WindowsやLinuxサーバーと混在させることが可能になった。最大8CPU/32コア搭載のラインナップが用意されるほか、「Blade Linkアーキテクチャ」により、アップグレードキットを装着することで、複数のブレードを束ねてSMPサーバーとしてスケールアップすることができる。
そして、ハイエンドサーバーであるHP Superdome 2もブレードサーバーのアーキテクチャを組み込んだ。
もとよりHP Superdomeはブレードサーバーが生まれる以前から「セルボード型のサーバー」であったが、今回は最大230Gbpsのクロスバーファブリックでセルブレードを統合するというアーキテクチャになった。そして、物理的に異なるセルブレードの統合により、OSやアプリケーションから単一のハードウェアに見せることが可能になる。「データベースなど分散処理が不可能なアプリケーションでも、まったく意識しないでスケールアップできる」(山中氏)という。また、I/Oに関しても専用のエンクロージャーを用意しており、独立して拡張できるという。
セルブレード「HP Superdome CB900s i2」にはItaniumプロセッサー9300番台が2基、32のメモリスロットが搭載され、18Uのエンクロージャーに8枚のセルブレードを搭載できる。また、エンクロージャーはクロスバーファブリックによって4台が接続できるため、最大で64CPU/256コアまでサポートする。
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