Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第11回
マグノリア「チューブ&ニコ録画2 Windows版」
動画関連ツールの7対応は案外すんなり!? その理由は…
2010年03月15日 14時00分更新
ユーザーは意外と保守的?
―― 御社製品のユーザーは、どういった層でしょうか?
広沢 チューブ&ニコ録画2では、“普通の方”が多いですね。同種のソフトはフリーソフトにもありますので、インターネットやPCに詳しい方はそちらを使われるでしょう。しかし、まだお店でパッケージソフトを買われるお客さまも多いので、店頭でパッケージを手にしていただき、「こんなことができるんだと」、買われていく方もいらっしゃいます。年齢層は幅広くて、女性の方も意外と多くいらっしゃいます。
村田 最初に紹介したBack To 2003 Proのユーザーは、大きく分けて、「新しいリボンインターフェイスに何とか馴染んでみようと努力したがダメだったから、以前の使い慣れたものにしよう」としいう方と、「画面をぱっと見てもわからないから、前に戻せるならそちらを使う」という方に分かれるようです。新しいユーザーインターフェースに関して、ユーザーの捉え方に違いがあるのは興味深いと思います。
広沢 ユーザーが過去の経験に縛られている部分もあるでしょうね、Office 2007でいきなり“リボンインターフェイス”になって、ファイルの読み込みひとつにしても探すのに苦労したのだと思います。Windows Vistaから(リボンインターフェースが)入っていれば早く慣れたのでしょうけど、「今までこうやってできたはず」「せっかく覚えたのに」、というユーザーさんにとっては、作法が変わったのが大きかったようですね。
―― 販売時のメディアはCD-ROM版のみですか? ダウンロード販売にして、ライセンスキーだけを売るというのは?
広沢 通常の(12cm)CD-ROMです。パッケージにカード1枚だけ入れて、そこのライセンスキーを入力させるというのは、他社でもよく見ますが、(当社の場合)その方式ではあまり買っていただけないのです。やはり物理的なメディアがないと安心されないようですね。数字とURLだけが書かれたカード1枚では、パッケージを買う意味がないということでしょう。
広沢 実際にダウンロード版も各社で扱っていただいていますが、数が出ているのは店頭のパッケージ版です。ダウンロード版のほうがかなり安価になっているので、不思議な状況です。
村田 そもそもダウンロード版を買おうとするお客さまは、ソフト売り場に出向くよりもオンラインショップを探されるわけですから、ご自身で調べてフリーソフトなどで解決されることが多いのかもしれません。
広沢 これだけネットブックが普及しているので、CDメディアを読めないPCも増えています。そこで私たちもUSBメモリーの販売を試みているのですが、こちらも思ったより動きがありませんでした。
―― それは、どのような理由が考えられるのでしょう?
広沢 推測できるのは、やはり安心感です。たとえば、「これは容量2GBのフラッシュメモリーで、中に数MBのソフトを入れてあります。ですから、残りの1.5GB以上は皆さんが自由に使えます」とアピールしてみても、日々USBメモリーとして使っていると肝心のソフトを消してしまいそう、と心配になるのかもしれません。リードオンリーのメディアで安全確実に保管できるものが手元に欲しいのでしょう。
村田 また、ネットブックのユーザーさんは思ったほどソフトを買っていただけないのです。ネットブックは必要最低限の機能を残して残りを削りきったところが受けたのかもしれません。もしくは自分で調べてフリーソフトなどを使っているか、ですね。
広沢 メディアがCD/DVDからUSBメモリーに一気に移行すると考えたのは、ちょっと先走りすぎたと感じています。多くのメーカーが採用すれば、CD並みにコストも下がるのかもしれませんが、そうはなりませんでした。印刷されたマニュアルが入っていないのも、敬遠された理由かもしれません。
マグノリアが次に目指すところは?
―― 次のバージョンで追加する機能・仕様を教えていただけますか?
広沢 実は、結構煮詰まりつつあります。バージョン1から2になったときは、YouTube側のHD動画対応などがあったので、その対応がウリになったのですが……。最近は痒いところに手が届くような、例えば超解像技術を利用した動画のアップスケール機能の追加などを考えています。
村田 最近のデジカメは動画も撮れるのですが、YouTubeの動画をデジカメで見たいという興味深い要望がありました。動画プレーヤーとしてのデジカメは、用途としてはアリだと思いますが、こちらも携帯電話と同様に、機種ごとにさまざまな動画形式が採用されているので、実際のところ対応は難しいですね。
―― Windows 7のマルチタッチやセンサー&ロケーションについてはいかがでしょう。
広沢 囲碁、将棋、マージャンなどの定番ゲームなどを指で操作するのは、特に高齢層のユーザーにとって効果的だと思います。いっそのことタブレットPCにゲームだけ入れた「囲碁専用マシン」を出しても、売れるのではないかと思っています。
広沢 現在はまだ、ハードウェアの普及を待つ段階ですが、普及した暁には、「リボンインターフェイスが、実は指で操作するのに向いていたんだ!」といった再発見があるかもしれません。(マウス操作が前提の)メニューバーなどでは繊細な操作が必要なため、かえって疲れてしまうでしょうね。さらに直感的に操作できるようなユーザーインターフェースを目指します。
―― Webアプリケーションやクラウドへの取り組みはいかがでしょうか?
広沢 積極的に取り組んでいきたいですね。むしろ、ソフトメーカーの活路はそこにしかない気もしています。この業界は、あっという間に置いていかれてしまうものですから。
特にクラウドに関しては、甘く見ていたというと変ですが、数年前から言葉だけが広がりながら、なかなか普及しなかったので、やはり箱やマニュアルが必要ではないかと考えていたのです。年間いくらという利用料の体系は馴染まないのだろう、とも思っていました。
しかし、ここにきて本格始動の兆しがあり、いよいよパッケージソフトが終わる時期に差し掛かっているのではないか、などと危惧することもあります。いずれは当社もそちらに進まないといけないと思っています。
―― 本日は、ありがとうございました。
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