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Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第6回

日本デジタルオフィス「DO!Cat」

大阪発の頭抜けた技術力でPDFカタログを自在に操る

2010年02月03日 15時00分更新

文● 塩田紳二

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Visual StudioとExpression Blendで
デザインとコード開発を完全分業

―― 最初からいまのような構成だったのですか?

三間 最初に作ったバージョンは、普通のドキュメント表示ソフトのようにページを左右にめくるだけのものでした。ですが、ページ数が多くなると一度に全部を見せたほうが選びやすくなります。Silverlightにはそのための機能もあるので、それを活用して全ページをサムネイル表示したり、シームレスに拡大縮小ができるように改良しました。このほうが、いちいち目次をたどらずに直感的に操作できますから。

触って楽しい使い勝手を実現したかった!
――全文検索からシームレスに拡大表示へ


 実際、PDFのレンダリングなどはDO!Cat側のエンジンを使っていて、そのスキンとしてSilverlightを使っています。PDFをSliverlight上で表示するための変換エンジンも、当社で開発したものです。Flashを使ったバージョンは、実はSilverlight用に作ったエンジンをベースに動作しています。

Flashバージョンの画面。検索やメモ添付など、Silverlight版と同等の機能を持つ

―― 全文検索も可能ですが、これも独自エンジンを利用しているのですか?

三間 はい。そのあたりも含めて、当社が創業時(1997年)から開発してきたPDFエンジンによるものです。このエンジンでPDFを自動解析し、同時に全文検索なども実現します。また、ページ内のオブジェクトにリンクやメモを付ける機能も、Silverlight上でできるようにしています。

―― Silverlight側の開発はどのように行なったのでしょうか?

営業担当の村尾氏

営業担当の村尾氏

三間 「Visual Studio」と「Expression Blend」です。UIデザインは、外部のデザイン会社とのコラボレーションで開発しました。Silverlightではデザインとコード開発を完全に分離できるため、こうした作業が可能だったのです。

 また、同じコンテンツを使ってWindows MobileやiPhoneでも閲覧できるビューアーも開発しました。

―― PDFファイルをWebサイトにも展開できるのですね?

三間 PDFを使ったカタログのファイルがあれば、それを元にして自動でWebサイト上のカタログページを生成する製品「DO!Cat LT」があります。これもPDFを解析して情報を取得し、自動的にHTMLページやそこに貼る画像などを生成します。その出力ページでも、Silverlightを使ってページのサムネイル表示などが行なえます。

 また、オフィス系ソフトウェアと連携する「DO!Cat Server」という製品もあります。「Office SharePoint Server 2007」と連動可能で、SharePoint Serverに作成した文書を登録すれば、Webサイト上にそれらを整理してページ公開できます。もちろん、こちらもSilverlightを使った全ページ表示や全文検索などが可能です。

村尾 DO!Catの機能を使ってPDFファイルからWebカタログを簡単に作成するソフトウェア「DO!BOOK」もあります。これもWindows 7に対応しており、「DO!BOOK」と同じコンテンツで手軽に始められるiPhoneビューワレンタルサービスは、1ファイル月額1000円(10ファイル単位)でご利用いただけます。

 また、Webカタログから画像・文字を切り出せる切り取り機能や、アクセスログで閲覧者の目線を追跡できるログ分析ASPサービスなど、多彩なオプションを追加して、高機能WebカタログとしてWebサイトなどでお使いいただけます。

2010年2月リリースというiPhone版の画面

―― 開発時に特に苦労された点は?

三間 最初はβ版で始めたのでほとんど情報がなく、手探り状態でした。何か問題があっても、自分(プログラムコード)が間違っているのか、あるいはβ版だから動作しないのか、という判断ができませんでした。MSDNなどの開発者向け情報サイトも探したりしました。  マイクロソフトのエバンジェリストにコンタクトを取ってからは、いろいろ情報も得られて、手探り状態を脱することができました。その後もマイクロソフトには、SharePoint対応などで頻繁にコンタクトを取っていて、その関連でSilverlightの情報なども紹介してもらい、助かりました。

―― Webサイト展開から電子出版まで幅広く展開している背景にあるのは、蓄積してきたPDF解析のノウハウや、それにともなう技術力というわけですね。本日はありがとうございました。


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