Intelチップセットの歴史 その5
次世代のIntel 6シリーズはDMIを高速化しUSB 3.0対応?
2010年01月19日 12時00分更新
年末年始スペシャルを挟んでちょっと間が開いてしまったが、インテルのデスクトップ向けチップセットロードマップの最終回を始めよう。既報のとおり、1月8日にインテルは、CPUのClarkdaleとH57/H55/Q57の各チップセットを発表。これで“近日発表”予定だったチップセットはほぼ全部出揃った事になる。まずはこのあたりのおさらいから始めたい。
Lynnfield世代でICHはPCHに
機能の強化はわずか
まず2008年11月に、Core i7シリーズの投入にあわせて登場したのが「Tylersburg」のコード名を持つ「Intel X58 Express」である。これは右図のような構造をとっている。
CPUのインターフェースそのものは、20bit幅のQPI(Quick Path Interconnect)になっており、これでIOH(I/O Hub)とつながる。IOHはPCI Express Gen2を最大36レーン出すことができ、ICHとは従来のDMI(Direct Media Interconnect)でつながる。CPU側にメモリーコントローラーが移動したため、IOHは事実上、PCI ExpressとQPI/DMIのブリッジとして動作するような形になっている。
ただし、デスクトップ向けでQPIを持つCPUは、当初投入されたNehalemコアの「Core i7-9xx」シリーズのみ。続いて2009年9月に登場した「Lynnfield」ベースのCore i7/i5は、CPU側にメモリーコントローラーのみならず、PCI Expressのインターフェースも搭載。チップセットとの接続は、下図のようにDMIを使う形になっている。
そのため、事実上CPUに直接ICHが接続される構造になるが、製品差別化のためか、あえてICHではなく、「PCH」(Platform Controller Hub)と称している。
ちなみにPCHは、スペック的には「ICH10」よりも少し進化しており、強いて言うのであれば「ICH11相当」というところか。実のところICHのスペックは2006年登場の「ICH8」の世代から大きく変わっておらず、違いは以下の程度でしかない。
- PCI Express 1.1(Gen1) x1レーンの数
- USB 2.0/1.1ポートの数
- SATA 300ポートの数
PCHの場合、USBポート数は14でICH10と同じだが、PCI Express Gen1レーンが最大8本(ICH10は6本)取れるのが大きな違いといったところで、その意味でもICH11相当と言うわけだ(編注:インテルでは、ICH10以降PCI Express 2.0対応と称しているが、転送速度は2.5GT/秒に留まっており、厳密な意味ではこれは2.0ではない)。
最初のPCHである「Intel P55 Express」はほとんどICHと機能が変わらなかった。だが、続いて登場したH57/H55/Q57は、DMIに加えて「FDI」(Flexible Display Interface)と呼ばれるバスが追加されており、これが加わったことでICHと機能の差別化がされた。
2010年1月に登場した「Clarkdale」ベースの新しいCore i5/i3は、Lynnfieldと同じLGA1156ソケットに対応したパッケージながら、MCMの形でGPUコアをCPUパッケージ内に統合している。そのため、GPUからの映像出力を新たに追加する必要が出てきた。この映像出力を、FDIとしてDMIとは別に用意し、PCHの側に出力にあわせたPHY機能を搭載して、最終的にディスプレー出力している。
ちなみにFDIは、4対のDifferential Signalingで、2.7GT/秒の伝達速度を持つものと定義されている。FDIの信号(やピン配置)そのものはLynnfield/P55の世代から定義されているが、内蔵GPUをもたないLynnfieldや、FDIへの対応を行なわないP55の場合、このFDI信号は単に無視される。
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