今回は、コンピュータメーカーである富士通の「ビジネスPC」を見ていくことにしよう。日本でPCを手がけるメーカーには、家電出身のメーカーからPC専業メーカーまでさまざまだが、富士通はコンピュータ(大型汎用機、サーバー&ワークステーション)が本業のメーカーだ。これはすなわち、仕事で使う場合にもブランド的な安心感があるということだ。
FMV-BIBLO MGが「自然に売れる」理由とは?
評価したのは、“個人ユーザー”向けの「FMV-BIBLO MG」シリーズだ。後半のインタビューでも話が出るのだが、この機種は同社が法人向けとして販売している「FMV-LIFEBOOK S」シリーズと同じ設計でできている(ただし筐体やキーボードなどに若干違いがある)。また、店頭販売されているFMV-BIBLOシリーズの中では、SOHOや個人事業主などによるビジネス利用も少なくないという。同社ではこのMGシリーズを、AV機能などの個人向けの機能を強化したマシンに比べて、「自然に売れていく」シリーズだと評している。
このMGシリーズを短期間ではあるが、試用することができた。サイズ的には持ち歩き可能なものの、本格的なモバイルというよりも、オフィス内で移動しつつの利用が中心といったクラスになる。その分、CPUにはCore 2 Duoが搭載され、パフォーマンス的には十分なものを持っている。OSは、Windows Vista Home Premiumがプレインストールされている。
長く使い続けて初めて気づくありがたみ
ハードウェア的には、オーソドックスな作りで、特に奇をてらったところはないが、他社製品と違うユニークな点として、ファンの開口部にホコリ掃除のための取り外し可能な格子(フィルター)を装備している点が挙げられる。
高性能なCPUを搭載する最近のPCではファンによる強制冷却が必要であり、このため周囲のホコリを吸い込んでしまう。使う環境にもよるが、しばらく使い続けるとホコリが内部に蓄積して、結果的に冷却能力を落としてしまう。熱が一定以上になれば、発熱を抑制するためにクロック周波数を下げたり、場合によっては電源を強制的に落とされることもある。そこまでいかなくとも、冷却のためにファンが常に高速で回転することになり、動作音がうるさくなったり、ファンのモーターの寿命を縮めることもある。
デスクトップPCならば、ケースを開けての掃除やファンの交換も容易だが、ノートPCではこれが難しい。場合によっては、キーボードやパームレストを取り外す必要があり、誰でも簡単にできるわけでもない。
その点MGシリーズには、簡単に取り外せるフィルターがあり、これを外してたまったホコリを除去できる。これは、購入してすぐに使うものではないが、長く使い続けた後に、初めて効果が実感できる機構だ。昨今の景気後退でPCをおいそれとは買い換えられないご時勢だけに、このような配慮の有用性は実感できることだろう。
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