ビジネスプロジェクターは、いまや欠かせないビジネスツールだ。社内外でのプレゼンテーションや会議など、複数人が同時に画面を囲んで議論する場面は、日常的な風景となっている。最近は可搬性に配慮したコンパクトな製品が注目を集めており、プロジェクターは便利だがかさばるといった常識は過去のものとなった。
ここでは最新のビジネスプロジェクターの市場動向などをおさらいする。
ビジネスプロジェクターの市場動向
家庭向け大型・薄型テレビの出荷台数は近年、毎年1.3~1.5倍の伸び率で推移していると言われているが、プロジェクター製品の出荷台数はほぼ横ばいだ。
プロジェクターの場合、AV機器としてのパーソナルユースはビジネスユースの約1割程度と言われており、一般市場はまだ未開拓と言える。世界市場が約20%の伸びを見せているのとは対照的だ。
にもかかわらず、多くの市場分析が「今後数年で数倍規模の需要拡大」とまとめている背景には、以下の2点が市場を牽引するとみているためだ。
- LCOS方式の普及によってホームシアター製品の価格が引き下げられること
- モバイルユースでの動画・データ視聴環境の変化
特に後者は携帯電話への内蔵やポケットプロジェクターなど新しいカテゴリーの登場によって、モバイル機器の小さな画面を大きく投影して見るという、新しい利用形態を想定しているものと思われる。
プレゼン用途に最適なモバイルプロジェクター
ビジネスプロジェクターは、会議室などに設置して「ほとんど動かさないモデル」と客先などに携行してプレゼンテーションを行なうための「モバイルプロジェクター」に大別できる。
前者は学校向けにも販売されているが、30万円台のハイエンドモデルが主流で、LAN接続など豊富な機能を特徴とする。後者は10万円以下~20万円台と比較的手頃な価格になっているが、機能面ではLAN接続などを省きがちだ。
一方で可搬性を意識したコンパクトなボディーや、PCとの接続性の高さが特徴で、本体を小型化するためにDLP方式やLED光源の採用が進んでいる。モバイルプロジェクターと言ってもオートフォーカスや電動ズームなどの機能を持つ「比較的上級向けモデル」は10万円台。これよりシンプルなものは10万円以下の価格帯で販売されている。
パソコンやデジタルカメラなどと違って製品サイクルが比較的長い点も特徴だ。
このため最新製品と旧モデルを併売する期間も長い。店頭では数年前の上位モデルと最新の普及モデルが同程度の価格帯になっていることも多い。特にHDMI端子やUSBディスプレー機能はここ数年で急速に導入が進んだ。2年前くらいにリリースされた製品と最新モデルを比較すると、このあたりの差異が大きい。
なお、製品カタログはこちらの記事を参照いただきたい。
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