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創業28年目を迎え、ユーザー目線の製品はますます元気!

RAID市場でもアダプテックがひいきされる理由

2009年08月17日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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SAS/SATA両対応を謳う「Unified Serialコントローラ」搭載のRAIDカードをメインにRAID関連製品を揃えるアダプテック。昨今の同社の動向や新製品「Adaptec RAID 5Zシリーズ」について、日本法人の担当者に話を聞いた。

RAIDの総合ベンダーとなった
アダプテックの現状

 アダプテックは創業当初からストレージ業界で製品を投入し続け、今年で28年目を迎える。古くから知るユーザーから見ると、「アダプテックといえばSCSI」というイメージが強い。しかし、長らく延命しているものの、SCSIはさすがにビジネスの一部に過ぎない。現在はRAIDカードを中心に、ASICやファームウェア、管理ソフトウェア、SDKなどを提供するRAIDの総合ベンダーとなっている。

 同社は2003年以降、外付けストレージやASICの事業を売却したものの、昨年にRAIDストレージのASICとソフトウェアを開発するアリストスロジックを買収。再度ASICの会社を買収することで、自社開発体制を強化し、サーバ・ストレージベンダーへのOEMビジネスを強化しようとしている。1995年からアダプテックジャパンでビジネスを推進してきた代表取締役 北アジアセールスの稲葉知彦氏は「ASICやソフトウェアスタックは、IBMのBladeCenterなどにも採用されており、今後もブレードサーバが大きく伸びていくと思います。現在は6Gbps RAIDの開発を進め、来春のリリースを目指しています」と同社の動向をこう語る。

アダプテックジャパン 代表取締役 北アジアセールスの稲葉知彦氏(左)とアジアリージョンマーケティング部長 若山卓也氏(右)

 一方、代理店経由でのチャネル販売も引き続き力を入れており、国内ではソフトバンク、シネックス、アスクなどが販売代理店となっている。稲葉氏によると「たとえばサードウェイブさんは、インテルのSSDと弊社のRAIDカードを組み合わせ、1.2Gbpsという超高速なワークステーションとかを出してます」と、パフォーマンスが評価され、採用されることが多いとのこと。

 特にホスティング業者の需要は急速に高まっているという。昨今、コストパフォーマンスの高いサービスを提供するため、サーバ自体を自社開発するホスティング業者も増えている。こうした自社開発のサーバに組み込むRAIDカードとして、アダプテックの製品がチョイスされるわけだ。RAIDカード管理ソフトである「Adaptec Storage Manager」をサービスに組み込んで提供するところもあるという。

キャッシュ保護を
バッテリ交換なしで実現するZMCP

 Adaptec RAIDシリーズはメインの3シリーズ、ミラーリングに特化した安価な2シリーズ、RAID 5/6までサポートした5シリーズが用意されている。そして6月に発表されたのが、ZMCP(ゼロメンテナンスキャッシュプロテクション)というキャッシュ保護技術を搭載する「Adaptec 5Z」シリーズである。

電源なしでもデータを保護できるZMCPを搭載した「Adaptec Unified Serial 5Zシリーズ」

 ZMCPとはサーバの障害時にキャッシュを保護するための同社独自の技術である。従来のRAIDカードのキャッシュ保護は、リチウムイオンバッテリベースのBBU(Battery Backup Unit)を追加して、電源の障害時にはバッテリに切り替えるというものであった。しかし、バッテリは通常1年で交換する必要があり、シャーシも開けなければならない。さらに電力の供給時間も決まっており、バッテリの経年劣化で駆動時間も短くなる可能性がある。

 これに対して5ZシリーズのZMCPでは、NANDフラッシュにキャッシュデータを書き込むことで、データの保護を行なう。電源の障害を独自のFPGAが検出すると、スーパーキャパシタから電力供給を行ない、DRAMキャッシュからNANDフラッシュまでデータを転送する。いったん書き込んだらデータは不揮発性のNANDフラッシュに無期限に保持される。また、スーパーキャパシタは転送する短時間のみの給電を目的とした蓄電装置なので、バッテリのような交換は不要だ。数多くのサーバを長期間に使う場合など、大きなコスト削減につながるという。

 稲葉氏は「お客さんにヒアリングしたところ、コスト重視で、電源が二重化されていないサーバを使っている場合も意外と多いんです。こういう場合、たとえUPSがあっても、サーバの電源が壊れれば、サーバは落ちてしまいます。また大手のデータセンターはやはりこうしたバッテリ管理に神経質です。6月の発表後は、けっこう問い合わせもありましたね」と5Z導入の背景と反響について語る。また、データ消失の危険性があるからといって、キャッシュをオフにしてライトスルー(RAIDカードから直接スピンドルに書き込む方法)を使っているユーザーも、安心して高速化に貢献するキャッシュをオンにできるという。

少しのアイデアと工夫で
差別化が可能に

 インターフェイスがSATA/SASに収斂した昨今、RAIDカードというと、もはやパフォーマンスくらいしか差別化要因がないように思える。しかし、5Zシリーズはちょっとしたアイデアで、大きな差別化を実現している。消費電力の削減や幅広いOSのサポートなども、同社が以前から取り組んでいるテーマだ。このように同社のRAIDカードは、いろんな工夫を少しずつ積み上げて完成したものだという。

奥が5Zシリーズで、手前が3シリーズ。かなり小型化されている

 たとえば、ギガヘルツ単位のCPUが載ることになったことで、数年前はRAIDカードの放熱が大きな問題となった。しかし、「可動部のあるファンは付けないでくれとOEMベンダーからはいわれました。一方で、逆にサーバの放熱を効率化するエアフローをなんとかできないかとも要望されました」(若山氏)といったフィードバックもあった。部品の取捨選択やボード上の配置、穴あきのブラケットなども、こうしたフィードバックから練りこまれてできたもの。SCSIカード時代からの、こうしたこだわりがOEM先のベンダーやホスティング事業者、ひいては秋葉原のプロユーザーからひいきを受ける理由に違いない。

 稲葉氏は「秋口にも、かなりユニークな製品を発表しますよ」と期待を持たせてくれた。今から楽しみだ。

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