景気刺激策として、ついに始まったエコポイント。それに先立つ大型連休のデジタル家電の販売価格が大幅に下落し、台数が伸びても金額が伸びない大幅なデフレ化が進んだことがBCNの調査で明らかになった。
テレビ、ノートPC、ICレコーダーは売れ行き好調だが
今回の調査は、4月29日から5月6日までの連休期間中のデジタル家電販売状況を2008年と2009年で比較したもの。販売台数では前年を上回りながら、販売金額で前年割れになった製品が目立った。
顕著だったのは好調の薄型テレビで、台数では前年同期比17.8%増を記録。しかし、販売金額は4.9%減と大幅に落ち込んだ。平均単価が前年比で19.3%も下落したことによるものとみられる。
同様の問題は、ノートパソコン市場にもある。Netbook人気が牽引して、33%と大幅の台数増を達成するなど、活気を取り戻しているが、平均単価が27%下落し、販売金額では2.9%減と前年を下回った。BCNでは「ミニノートに端を発する低価格化現象が、市場構造を大きく変えようとしている」と分析している。
また、ICレコーダーは台数で18.9%増と2割近い伸びを示しながら、金額では逆に8.1%減と2ケタに迫る前年割れ。こちらも22.7%の価格下落が大きな要因になっているという。
これ以外にも、デジタルビデオカメラや携帯オーディオプレーヤーが台数微増ながら金額減。コンパクトデジタルカメラに至っては、台数で4.2%減、金額では14.2%減と前年を大きく下回る結果となっている。
BD特需もそろそろ終了? エコポイントの影響も気になる
その一方で、台数/金額ともに前年を上回ったのが、DVD/BDレコーダーだ。ただし、2~3月に前年同期比20%以上の伸び率を示した勢いはなくしているという。価格の下落は5.8%にとどまっているが、買い替えによるBD特需は陰りを見せており、単価減の可能性もあるとBCNでは見ている。
なお、デジタル一眼は、18.8%増と勢いはやや弱まっているものの、単価下落は8.3%程度にとどまっている。販売金額も前年同期比8.9%増と堅調だったという。
BCNでは、エコポイントもこうしたデフレ傾向を進める懸念材料になると見ている。特に薄型テレビでは、金額ではなく「画面サイズ」に応じた一定のポイントが付与されることになったため、価格の安い製品ほど値引率が高まることになる。ポイントの具体的な使い道や申請方法などの詳細も固まっていない点も「消費者の購買意欲に水を差しかねない」とBCNではまとめている。