KDDIの宅内LANサービスで採用される同軸回線モデム(中央)とPLCモデム(右)。左の黒いボックスは、自宅に引き込まれた光回線をEthernetに変換する“ホームゲートウェイ” |
KDDI(株)は28日、東京・原宿のKDDIデザイニングスタジオにプレス関係者を集め、同社FTTH(家庭向け光ケーブル)インターネットサービス“ひかりoneホーム”の利用者向けに、電力線もしくは同軸回線(TVアンテナの配線)を使った宅内ネットワーク構築機器の販売/レンタルサービスを12月9日以降順次開始すると発表した。
執行役員ブロードバンド・コンシューマー事業本部長の牧 俊夫氏 | 執行役員ブロードバンド・コンシューマー商品企画本部長の野坂章雄氏 |
発表会には、執行役員ブロードバンド・コンシューマー事業本部長の牧 俊夫氏、執行役員ブロードバンド・コンシューマー商品企画本部長の野坂章雄氏らが出席し、サービス開始の背景などを説明した。
PLCモデムはアイ・オー・データ機器の製品を採用
同軸回線モデムは自社開発でQoSやIPマルチキャストをサポート
PLCモデムの側面にはアイ・オー・データ機器のロゴがある |
電力線を使ったPLCサービスは12月9日に“宅内LANサービス専用ホームページ”(http://www.hikari-one.com/takunai/)を開設し、ひかりoneサービスの利用者に先着500名限定で1セット2台のPLCアダプターを1万3800円で優待販売の受付を開始する。500名到達後については、「好評であれば、引き続き継続してキャンペーンを行なう可能性もある」としている。なお、PLCアダプターそのものは、本日発表された(株)アイ・オー・データ機器の『PLC-ET/M-S』『PLC-ET/M』と同一機器(関連記事)。最大伝送速度は190Mbpsで実効速度は約80Mbps(評価装置でのUDP通信による測定値)。
同軸ケーブルモデムのみ接続できるIP-STB。ひかりoneのTV配信サービスを各部屋で利用できる |
同軸回線を使ったサービスは2007年1月末に開始予定で、同軸ケーブルモデム1セット2台を月額840円(追加レンタルは1台420円)でレンタル提供開始する。最大伝送速度は128Mbpsで実効速度は約90Mbps。同軸ケーブルモデムではPLCアダプターにはない“QoS”(品質保証)と“IPマルチキャスト”をサポートしており、オプションのIP-STB(インターネット回線でTV番組を視聴可能なセットトップボックス)が接続できる。IP-STBを使ってインターネット経由でTV視聴している場合は、一般のデータ通信よりも映像配信を優先するため視聴しているTVが途切れる心配はないという。
既存サービスの無線LANと、PLCや同軸ケーブルの比較 |
いずれも、2階建て以上や厚い壁で電波が通りにくい戸建て契約ユーザー向けサービスであり(PLCと同軸回線は併用可能)、集合住宅向けには既存の無線LAN環境構築サービスを推奨していくという。初期投資としてモデムを購入(レンタル)する以外には、追加の月額回線利用料などはかからない。
高速PLCモデムの特徴 | 同軸ケーブルモデムの特徴 |
今回発表された宅内LAN機器の仕様は以下の通り。
高速PLCモデム | 同軸ケーブルモデム | |
---|---|---|
利用する回線設備 | 宅内の電力線 | 宅内のTV用同軸線 |
規格 | HD-PLC方式 | ITU-T G.9954準拠 |
使用周波数帯 | 4MHz~28MHz | 2MHz~21MHz |
伝送速度 | 最大約190Mbps | 最大約128Mbps |
実効速度 | 最大約80Mbps | 最大約90Mbps |
本体サイズ 重量 | 幅約121×奥行き40×高さ70mm 約240g(本体のみ) | 幅約135×奥行き90×高さ35mm 約170g(本体のみ) |
受付開始時期 | 12月9日 | 2007年1月末 |
同社ではこれらサービスの拡充によって宅内LAN機器の性能強化を図るとともに、ひかり導入前相談の無料サポート“おまかせアドバイザー”と機器の接続や設定サポートを1回無料で行なう“かけつけ設定サポート”にPLCや同軸配線についても情報提供を行なうことで、どの部屋からでも簡単かつ高品質に“ひかりone”の各種サービスを利用されるべく、今後もサポート体制の充実に努めていくとしている。
PLCモデムと同じコンセントにドライヤーを接続して使ったり…… | 掃除機を使ってみても、ストリーミングビデオには影響が出ないとアピール | |
発表会では、電力線インターネットがほかの電気機器と干渉しない、影響がでないことをアピールするため、ドライヤーや掃除機などモーターを使う家電製品を同じコンセントで使ってもストリーミングビデオ映像が途切れないことをデモした |
なお、説明会の後で記者から「PLCと同軸回線で、アダプターの提供形態が違う理由は?」との問いには、「PLCアダプターは今後多くの企業から製品が出てくる可能性があるので取り次ぎ販売を行なう。一方、同軸回線モデムは自社で2年間をかけて開発したもので、市販品ではないためレンタル提供となる」と回答。また、「(ADSLサービスの)“メタルプラス”のユーザーには適用しないのか?」との質問には、「(PLCや同軸回線による宅内LAN構築は)メタルプラスでも使えるサービスなので、ひかりoneが成功した後でサービス提供を始める予定」と答えた。