見やすい、録りやすい、使いやすい“地デジパソコン”はこれだっ Part.4
見やすい、録りやすい、使いやすい“地デジパソコン”はこれだっ Part.4
2006年03月07日 00時00分更新
この“特別企画”では、2006年春モデルにおける地デジ対応に注目し、はたして地デジ番組をどこまで楽しめるのか、“視聴”“録画・再生”、さらに春モデルのポイントである“変換・出力”といった3つのポイントについて、比較・検証していく。ここでは富士通、日本電気、ソニー、日立製作所という4社の地デジ対応パソコンの“DVDへの変換・出力”について、実際に見ていこう。
モデルによって大きく異なる“変換・出力”機能
今回比較・検証した4メーカーの製品 |
今春登場した地デジ対応パソコンで最大のポイントは冒頭でも触れたように、なんといっても「DVDメディアに対するコピー・ムーブ」「ネットワーク配信」といった機能の搭載である。昨年までのモデルでは録画した番組はそのPCでしか楽しむことができなかったが、春モデルからは録画した番組をほかのPCでも楽しめるようになっているのだ。各モデルに搭載されている機能は次のとおり。
評価対象の製品名と視聴ソフト
- (1)
- 富士通・FMV-DESKPOWER LX90R/D
DigitalTVbox - (2)
- 日本電気(NEC)・VALUESTAR W VW970/EG
SmartVision - (3)
- ソニー/ソニーマーケティング・VAIO type R VGC-RC71PS(VOMモデル)
StationTV Digital for VAIO - (4)
- 日立製作所・Prius Deck DH75P2
Prius Navistation 4
評価対象製品 | (1) | (2) | (3) | (4) |
---|---|---|---|---|
DVDメディアに対する出力(SD画質への変換) | ムーブ& ダビング | ムーブ | × | ムーブ |
HDD内でのデジタル放送番組のSD変換 | × | ○ | × | × |
書き出し可能なDVDメディア | CPRM対応DVD-RAM | CPRM対応DVD-RAM | - | CPRM対応DVD-RAM |
モバイル機器に対する出力 | × | × | × | × |
バックアップ(リムーバルHDDなどに対する録画データの移動) | ○ | × | ○ | × |
まずはDVDメディアへの書き出しだが、VALUESTAR WとPrius Deckの2モデルがムーブ、FMV-DESKPOWER LXがムーブ&コピーに対応している。この場合のムーブ&コピーは、HDDに記録した番組をDVD-Video相当の映像品質にダウンコンバートしたうえでDVDメディアに出力する処理のこと。サポートしているメディアはいずれもCPRM対応DVD-RAMとなっている。書き出しに要する時間はダウンコンバートが最も長くかかるため、映像の再生時間と同程度以上かかってしまうが、DVDに書き出してしまえば、録画した映像をほかのパソコンやAV機器でも楽しめるので、多少の我慢も許せるだろう。
ムーブとコピーの違いは、書き出した後のHDD内の映像の扱いで、ムーブは書き出し完了とともにHDDから映像を自動消去するのに対し、コピーではオリジナルの映像を消去せずにそのままのかたちで残しておける。一度SD画質にダウンコンバートした映像は元の状態(HD画質)に戻せないので、コピー機能の有無は大きな意義を持つ。だがFMV-DESKPOWER LXが実装するコピー機能は、扱いが少々面倒になっている。というのも、FMV-DESKPOWER LXでは
- 録画予約の時点で録画した番組を将来ムーブ・コピーのどちらを行うのかあらかじめ指定しなければならず、指定した以外の方法では出力できない(ムーブ指定で録画してしまった映像は、DVDに書き出すと決めたら残せない)
- コピー指定で録画できるコンテンツはHDDに1番組のみ(もしすでにコピー指定で番組を録画していたら、その番組を削除しない限りコピー指定で録画ができない)
という制約があるからだ。DVD出力を行なってもHDDにオリジナルの映像を残しておけるというのは、使い勝手を確実に向上させる魅力的な機能だけに、(コンテンツ保護の縛りがあるとはいえ)現時点での実装形態はなんとも口惜しいところだ。
富士通・FMV-DESKPOWER LXの録画ソフト「Digital TV box」のDVD書き出し(ダビング&ムーブ)
予約録画時のダビング設定は、HDD内にダビング対応で録画済みのコンテンツがない場合にのみ指定可能だ。ダビング指定で録画したファイルがHDD内のどこかに残っている場合は、そのファイルを消去するまで新たにダビング設定での予約録画できないのである。 |
一方、ホームネットワークに参加しているAV機器などから、録画したパソコンのデジタル放送番組を呼び出して再生する“ネットワーク配信”機能については、この4モデルで唯一、VAIO type Rがサポートしている。録画したHDコンテンツを含むデジタル放送の番組を、そのままの映像品質でほかのパソコンやTVに配信する(表示させる)ことが可能だ。
これを利用するためには、パソコンで表示する場合はソニーのVAIOシリーズにバンドルされるAVサーバーアプリケーション「VAIO Media 5.0」のクライアント機能が、TVで表示する場合はネットワークメディアプレーヤー「ルームリンク VGP-MR200」が必要となる。いずれかがあれば、録画した地デジ対応パソコン(VAIO type R)をビデオサーバーにしてネットワーク経由で別室のパソコンやTVから映像を自由に呼び出して楽しめる。いわば、HD(ハイディフィニション)&ネットワーク対応HDDレコーダーをそのまま実現したようなものだ。
NEC・VALUESTAR Wの録画ソフト「SmartVision」でのDVD書き出し
VALUESTAR Wの場合、デジタル放送のDVD出力には“アナログ変換”“DVD作成”という2つの手順を踏む必要がある。アナログ変換を行なっていないデジタル放送の録画済み映像でDVD作成を選択すると、エラー表示が出て実行されない。 |
アナログ変換は、録画した映像の一覧から目的のファイルを選択して“ファイル出力”をクリック。表示された設定ダイアログから“アナログ変換”を指定すればOKだ。 | アナログ変換を行なった後、または録画時に“アナログ変換”で記録した映像があれば、あとは映像一覧から“DVD作成”を選択することで、DVD出力が可能となる。 |
録画済み番組の保存・管理という点では、FMV-DESKPOWER LX、VAIO type Rの2モデルが搭載している“バックアップ”機能も注目すべきだ。これはHDDに録画した映像を外付けHDDなどに移動できるという機能。録画した番組をいつまでも保存しておきたいけど、DVD出力で映像品質が落ちるのはイヤ――と考える人には、すぐには見ない映像をほかのHDDに一時退避するしかなく、そういった点ではこの機能はそのニーズに応えるものといえる。
ただし、今回テストしたVAIO type Rを試した限りでは、バックアップといっても番組単位で自由に内蔵HDDと外付けHDDを入れ替えられるというわけではなく、録画に使っているHDD領域を映像/写真などコンテンツ種別ごとに選択して、まとめて丸ごと書き出し/書き戻しするというもの。つまり、外付けHDDからバックアップした映像を書き戻す場合は、事前に現在内蔵HDDにある映像を別途バックアップするか、消去されることを覚悟しておかなければならない。アナログ放送の映像コンテンツでは番組1本単位で自由に保存(バックアップ)先を選べる現状を考えると、使い勝手の点ではまだ改良の余地がある、というところだ。