写真1 外観は薄型機のDMC-FX7に近い雰囲気だが、本体はひと回り大きい。しっかりとしたグリップ感がある。ジャイロセンサで縦位置の検出も可能。 |
大画面、手ぶれ補正、スリムサイズ……勘所を押さえた強力スナップカメラ 松下電器産業「LUMIX DMC-FX7」レビュー。写真をクリックすると当該記事に移動します。 |
松下電器産業のデジタルカメラ「LUMIX」といえば、まず思いつくのが「光学式手ぶれ補正」(OIS)だろう。同社は昨年秋に発売した「DMC-FX7」で、薄型機にもOISを搭載したが、今回はより低価格なエントリ機にまでOISを搭載してきた。これにより、同社ラインナップのほぼすべての機種が光学式手ぶれ補正を搭載することになった。
今回紹介する「DMC-LZ2」は、有効500万画素のCCDと光学6倍の高倍率ズームを搭載したコンパクトなエントリ向けデジカメだ。レンズは焦点距離37~222mm相当/開放F値2.8~4.5で、本体サイズは100.5(W)×32.9(D)×63.5(H)mm。外観はLUMIXシリーズでもっともコンパクトなDMC-FX7の雰囲気を継承しており、太く強い印象のレンズ周りのデザインが目を引く。カメラを正面から見たときの表面積はDMC-FX7より少し大きく感じる程度であるが、厚みは1.5倍くらいある。大き目のグリップは、女性よりは男性の手にしっくりきそうだ。
写真2 本体には長寿命がウリのオキシライド乾電池2本が付属する。メーカー公称値で235枚程度の撮影が可能。省電力を重視したヴィーナスエンジンプラスの成果だ。 |
エントリクラスで200mmを超える望遠撮影が行なえる機種は珍しい。写真を撮りなれてくると肉眼の見え方より、「極端に広い」あるいは「極端に狭い」画面効果が欲しくなってくる。本機は37mm相当と広角撮影には弱いが、対象を小さくするワイドより、大きく見せてインパクトの強い効果が得られる望遠寄りのレンズのほうが、初心者は受け入れやすいはずだ。
望遠というと遠くの被写体を大きく写せる点に関心が集中しがちだが、実はそれだけではない。その一例がマクロ撮影だ。マクロというと被写体にどれだけ近づけるかが重要と思い込みがちだが、そうとは限らない。寄りすぎるとレンズの歪みが出たり、カメラや自分の手が影になったりするからだ。本機では最大望遠時(222mm相当)でも、最短50cmの撮影が行なえるので、少し離れた場所からのマクロ撮影にチャレンジしてみるのもいい。
写真3 手ぶれ補正のON/OFF機能はボディ上部に独立して配置。独立したボタンにすることで、すばやく切り替えられる。 |
望遠レンズでは広角レンズとは逆に被写体の後ろにあるものも大きく写るので、実際には遠く離れた距離にある手前の被写体と後ろの被写体がすぐそばにあるような写真を撮ることができる(圧縮効果)。また、ピントの合う範囲が広角レンズに比べて狭いため、背景をぼかして人物を際立たせた写真も撮りやすい。もっとも、本機は撮影距離にあわせた絞りを数段階に切り替えるようなインテリジェンスさは持ち合わせておらず、2段階の絞りしか調節されないため、本格的な撮影には不満が残る。このあたりはエントリ機としての限界だろうが、すべてカメラ任せの「かんたん」撮影モード以外では、積極的に色合いなどを変更できるなど、自分の好みの設定を探せるのはうれしいかぎりである。
全体を640×480ドットにリサイズしたもの。 | 左端を640×480ドットでトリミングしたもの。 | |
撮影サンプル 222mmの望遠を生かした圧縮効果の例。望遠撮影時は手ぶれしやすいので、その意味ではOIS搭載の意味は大きいだろう。 |
手ぶれ補正は、初心者だからこそ欲しい機能でもある。入手しやすい単3乾電池での撮影ができ、やや暗い夜景や室内などでも積極的にシャッターを切れる手軽さは、スナップカメラに必要な要素ではないか。
LUMIX DMC-LZ2の主なスペック | |
製品名 | LUMIX DMC-LZ2 |
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撮像素子 | 有効500万画素CCD |
光学ズーム | 6倍 |
焦点距離 | 38~222mm相当 |
開放F値 | F2.8~4.5 |
出力サイズ | 最大2560×1920ドット |
記録形式 | JPEG(Exif2.2) |
液晶モニタ | 2型微透過型TFT液晶(8.5万画素) |
電源 | 単3型乾電池×2本 |
バッテリ寿命 | 約235枚(CIPA測定基準) |
本体サイズ(W×D×H) | 100.5×32.9×63.5mm |
重量 | 約178g(本体のみ) |